英文略称を「JCM」(JCメタル)に変更/金属労協の定期大会

(2012年09月05日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(西原浩一郎議長 約205万人)は4日、都内で定期大会を開催した。金属労協が加盟していた国際産別組織(GUF)である国際金属労連(IMF)が6月に国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)、国際繊維労組同盟(ITGLWF)と組織統合し、新たなGUF「インダストリオール・グローバルユニオン」が誕生したことをうけ、規約を改訂して英文略称を「JCM」(呼称JCメタル)に変更した。1964年の結成以来、関係者の間で定着していた「IMF-JC」の呼び名は大会をもって正式に消滅することとなった。

日本語の正式名称は変更なし

「全日本金属産業労働組合協議会」という正式名称には変更はない。金属労協は1964年5月、旧ナショナルセンターの枠を超えて、IMFに加盟する国内組織の協議会として結成され、同年11月のIMF世界大会で正式に加盟が承認された。現在、金属労協は、自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの産別組織で構成されている。インダストリオールでは、西原議長はアジア・太平洋地域の地域議長に選出された。

ICEM、ITGLWFのそれぞれにも国内組織がある。ICEMの国内組織はICEM-JAF(日本化学エネルギー鉱山労働組合協議会)。UIゼンセン同盟、電力総連、JEC連合、化学総連、ゴム連合、紙パ連合、全国ガス、化労研の8産別組織が加盟している。一方、ITGLWFでは、アジア太平洋地域組織(TWARO)があり、UIゼンセン同盟が加盟している(TWAROの本部はUIゼンセン同盟内にある)。現在、国内加盟組織は3つに分立している形だが、インダストリオール・グローバルユニオンでは4年間の移行期間が設けられており、ただちに国内組織を一本化することは求められていない。

協議体の検討は時期尚早

写真・定期大会のようす遠景、あいさつする西原議長

大会であいさつした西原議長は、「グローバル経済化が加速し、市場構造・産業構造が劇的に変化するなか、途上国に人権・労働組合権への権利侵害が多発し、先進工業国も含め労働者の雇用・労働条件の不安定化と社会的格差が生じている。IMFとして金属産業労働者の基本的諸権利を確立・擁護し、雇用と公正な労働条件を確保するために主体的に国際連帯強化によるより強力な国際産業別組織の結成を決断した」と説明し、「この意義の重さを踏まえ、金属労協としてもインダストリオールの強化・発展に努めていかなければならないとの決意をあらたにした」と強調した。

そのうえで西原議長は、国内の加盟組織間の連携について、三者で「インダストリオール国内加盟組織連絡会議」を設置し、定期的な会合を持つことなどにより、国際会議への対応をはじめ共同歩調をめざすことになったと説明。ただ、将来的な協議体のあり方については、「金属労協として、いまだその検討に入る状況には至っておらず、検討自体が時期尚早と判断する。特に国内活動でJC共闘をはじめ金属労協が果たしている役割の大きさを考えれば、まずは国際連帯活動での相互理解と統一的な活動推進を着実に進め、国内活動では認識の一致する政策・制度活動での協力・共同の実績を積み上げることが、まずは求められる」と述べて金属労協としてのスタンスを明確にした。

大会にはインダストリオール本部から、ユルキ・ライナ書記長もかけつけ、来賓あいさつした。また、インダストリオール副会長でもある島田尚信UIゼンセン同盟副会長(TWARO会長)、佐藤良雄ICEM-JAF事務局長もあいさつした。島田氏は、「貧困などの問題の解決なくしてアジアの問題は解決しない、としてUIゼンセン同盟もその支援をするためTWAROをつくった。金属労協もこうした精神でアジアを支援してきたのであろう」と述べたうえで、インダストリオール以降も「今まで以上にアジアの労働運動に貢献していかなければいけない」と強調。国内の協議体について、いつまでも分立したままだとアジアの労組から「何だという話が起こる」として、「4年かけて十分に議論して、協議会的なものをつくれるよう協議していきたい」とメッセージを送った。

方針にはTNCネットワーク構築など

大会で確認した2013~14年度運動方針では、賃金のミニマム運動の強化や一時金の「5カ月を基本として4カ月以上を最低獲得水準とする」ことの堅持など「金属産業にふさわしい労働条件の確立」、日系多国籍企業の海外労組と国内労組がネットワーク会議を持つなどのTNC(日系多国籍企業)ネットワークの構築などを含む「グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進」などが盛り込まれている。

方針討議では、加盟産別から、「グローバル化のなかで金属労協の役割のウェート高まっていることから、インダストリオールに対応した運動を強化すべきではないか」(JAM)、「自由貿易協定の締結など国内のものづくりを支える環境整備などが重要であり、金属労協として従来以上の取り組みの推進をお願いする」(電機連合)、「傘下の労連でもTNCネットワークの構築の重要性について議論しており、労連・単組レベルでも構築に向けて一歩ずつ前進している」(自動車総連)、「国内雇用を維持・確保していくためにも、金属労協として適宜政策を打ち出し、連合とも連携していくことが必要。連合をリードしていくぐらいの気概を」(基幹労連)、「60歳以降の雇用確保の取り組みでは、各産別と連携して情報共有できるような取り組みをお願いする」(全電線)といった意見・報告があった。

役員改選では、議長、副議長、事務局長では現職すべてが再任され、自動車総連の相原康伸事務局長が新たに副議長に加わった。