2012年度運動方針と2013春闘の基本方針を確認/生保労連定期大会

(2012年08月31日 調査・解析部)

[労使]

生保労連(佐藤正幸委員長、24万1,000人)は22日、都内で定期大会を開き、2012年度の運動方針を決めた。併せて、2013春闘の基本的な考え方や取り組み課題を含めた「総合生活改善闘争・基本方針」も確認している。役員改選は、佐藤委員長を再選。書記長には早川順治氏(朝日生命労働組合)が選ばれた。

産業政策の推進や組織強化の取り組みなどを明記

新運動方針は、 (1)生保産業の社会的使命の達成 (2)総合的な労働条件の改善・向上 (3)組織の強化・拡大 (4)生保産業と営業職員の社会的理解の拡大――で構成している。

「生保産業の社会的使命の達成」については、「産別組合としての責任ある行動が一層求められるなかで、生活保障産業の労働組合である生保労連に求められる社会的役割が高まっている」ことから、「健全な産業づくりや、生保産業の産業別労働組合ならではの活動・政策提言等を通じて、社会に一層貢献し、生保産業の社会的使命の達成を図る」とする。具体的には、生命保険に関する規制改革や公正な競争条件確保のための郵政改革の動向に対する取り組みなどの産業政策の推進、経営の健全な業務運営の徹底などのチェック・提言機能の強化が主な柱となっている。

「総合的な労働条件の改善・向上」では、「組合員の意識や取り巻く環境の変化が一層進むなかで、安心と働きがいの持てる職場・ルールをつくることが一層求められている」と指摘したうえで、総合生活改善闘争の推進や、営業職員の魅力ある働き方の実現、安心と働きがいのもてる労働条件の構築などを柱に据える。

「組織の強化・拡大」は、「各組合が抱える課題の多様化や組合員の意識の変化が進むなかで、各組合・組合員のニーズを踏まえた、共感の持てる組織づくりが一層重要となっている」との認識の下、「各組合・組合員が抱える課題へのアドバイス機能の強化、組合活動への参加の促進、政策実現に向けたネットワークの強化などを通じて、働く仲間や国民各層との絆・つながりを深め、組織の強化、拡大を図る」。産別として、単組との日常的な連携や雇用・組織問題を抱える組合への支援、ユニオンリーダーの要請、未組織労働者の組織化などの取り組みを強化する。

「生保産業と営業職員の社会的理解の拡大」に関しては、「生保産業と営業職員が果たしている役割を対外的に正しく伝え、その社会的イメージを向上させることが今後も生保産業が発展し、働く者の働きがい・生きがいを向上させていくうえで必要不可欠」だとして、広報・PR活動の強化や、社会貢献活動の実践と意識の醸成を図っていく。

生保産業の社会的使命、役割、重要性を改めて認識

写真・佐藤委員長あいさつ、定期大会のようす遠景

佐藤委員長はあいさつで、「この1年間の出来事のなかで特に印象に残ったもの」の一つとして、産業政策の取り組みについて言及した。 (1)税制では、拡充された新たな生命保険料控除制度が1月からスタートした (2)郵政改革では、民業圧迫が大いに懸念された郵政改革関連法案が取り下げられ、「改正郵政民営化法」が成立した――ことなどを説明。「長年に亘り取り組んできた重要課題に一定の決着がついた」と評価したうえで、「時代と社会環境が激しく変化しているなかで、案件が完結しないことが常となっており、最終判断が断定的に示せない難しい時代にある。いずれも重要な課題であり、引き続きしっかり注視していく」など述べた。

また、東日本大震災への対応についても触れ、「『万が一の特に対する備え』である『保障』の大切さを感じ、生保産業の社会的使命、役割、その重要性を再認識した」と指摘。「東日本大震災の対応では、営業職員が他のチャネルではなし得ない役割を発揮した。大変誇りに思うとともに、生保産業の社会的使命を、よりお客様の立場に立った視点をもって一層高い次元で達成し続けていくことが必要だ」などと訴えた。

取り組みの前進に向けて「パート・有期契約労働者単位組合連絡会」を設置

一方、大会では、2013春闘の基本的な考え方や取り組み課題を含めた「総合生活改善闘争・基本方針」も確認した。2013春闘では、 (1)経営の健全性確保 (2)営業職員体制の発展・強化(営業職員関係) (3)賃金関係(営業支援策の充実【営業職員関係】、賃金改善、人事・賃金制度関係【内勤職員関係】) (4)ワーク・ライフ・バランスの実現 (5)パート・有期契約労働者の処遇改善【内勤職員関係】――を統一取り組み課題に設定する。

このなかの、賃金改善については、来年1月の中央委員会で統一要求基準を決定。ワーク・ライフ・バランスの実現は、各労使で推進体制の強化をはかるなかで、全組合員の総労働時間短縮や年休取得促進などの「到達目標」の達成に向けた取り組みを推進する。

一方、「パート・有期契約労働者の処遇改善」では、「パート・有期契約労働者単位組合連絡会」を設置。各組合の取り組み内容に関して、組織化を実現させている組合を中心に情報交換を行い、課題認識の共有化をはかる考えだ。

このほか、大会では、「『公私ベストミックス』による社会保障システムの確立に向けた検討」などの特別報告も確認した。