補強運動方針と改定時短方針等を決定/サービス連合定期大会

(2012年07月25日 調査・解析部)

[労使]

サービス連合(約4.4万人)は20日、都内で定期大会(中間年)を開催し、2012春闘総括のほか、2011~2012年度運動方針の中間まとめと補強を行った。また、地域レベルでも強化する「観光政策への取り組み」方針や、年間総実労働1,800時間に向けた「時短方針の改定」方針等も決定した。

一時金は交渉が長期化し夏季のみの決着も増加(2012春闘総括)

サービス連合の2012春闘は、正規労働者に関しては賃金カーブ維持の確保と「35歳年収550万円」を指標とする賃金改善(一時金は年間4カ月等)、契約社員・パート等では時給20円・月例賃金換算3,900円以上等の要求を掲げて臨んだ。

大木哲也会長はあいさつの中で、今春闘について、「震災で多大な影響を受けた昨年の最悪の状況から徐々に回復しつつある中での要求となり、多くの加盟組合で賃金カーブ維持分を確保できた。一時金についても、全体平均では昨年水準を上回ったことから、年収の維持・向上が図られた」などと評価。その一方で、「とりわけ一時金水準の判断については、企業業績や財務状況をますます見極める傾向が強くなり、交渉がさらに長期化するとともに、夏季のみで決着せざるを得ない加盟組合が増加した。今後とも日常的な労使協議を強化し、企業経営状況の把握に努めるとともに、一時金の冬季未確認部分の確保、あるいは新たな交渉を行うため、早期に体制を整える必要がある」などと総括した。

産業別最低保障賃金は地域別で+10%上乗せに

また、2011春闘の要求基準を据え置いて臨んだ「産業別最低保障賃金」をめぐり、大木会長は、「昨年より要求組合は増えたが、依然として企業の抵抗感を崩す状況にない」などと指摘。そのうえで、「これまでは(地域別最低保障賃金に)一律100円を上乗せした基準を設定してきたが、地域間で比重が異なることも指摘されており、(2013春闘からは)一律10%の上乗せに変更する」方針を明らかにした。

時短の取り組みを強化

大会では、2007年大会で確認した「時短方針」の改定方針として、現行据えている、「年間所定内労働2,000時間以内」の最低基準と、「年間総実労働1,800時間」の到達基準の間に、新たに「年間総実労働2,000時間以内」と「年間総実労働1,900時間以内」という目標も設定することなどを決定した。

サービス連合における年間総実労働(2010年度)をめぐっては、平均で2,059時間08分と、07年度対比で約42分短縮したものの、年間所定内労働は平均1,945時間22分で07年度から進展していない。また、最低基準の重点とした、年間所定内労働2,000時間以内と基本的な休日104日の確保についても、達成できていない加盟組合が30組織以上ある。さらに、年間総実労働時間を把握できていない加盟組合もみられるのが現状だ。

こうしたなか、最低・到達基準の中間でも、達成感を得られる目標を新たに設定することで、取り組みのテコ入れを目指す。加盟組合は8月以降、2017年7月までの推進計画を作成し、段階的目標に応じたグループ毎に、 (1)所定内労働時間の短縮(1日7時間30分以下を目指す。年間休日104日を確保したうえで新たな休日を増やす等) (2)年次有給休暇の取得拡大(1人平均10日以上から段階的に引き上げ、取得5日未満の組合員をなくす等) (3)時間外労働の削減(すべての組合員で月45時間以下に抑えたうえで年間360時間以内から、段階的に120時間以下を目指す) (4)その他(36協定の適正化、労働環境の改善等)――に取り組むことなどを決めた。

注)^:今春闘、ホテル・レジャー業で要求書を提出した59組合のうち、賃金改善要求を行ったのは8組合、制度確認含め定昇要求は42組合で、一時金は業績連動の3組合含め59組合が要求した。結果、6月21日時点で集計可能な16組合の単純平均は、賃金改善が定昇のみ・平均3,819円(昨年4,012円)、一時金が年間妥結19組合の単純平均で2.22カ月(昨年は9組合・1.61カ月)、夏季のみ妥結37組合で同1.07カ月(昨年は35組合・0.88カ月)となった。一方、観光・航空貨物業で要求書を提出したのは67組合で、6月21日時点で集計可能な36組合の単純平均は、賃金改善が平均5,914円(昨年は最終28組合・5,878円)、一時金が49組合の単純平均で1.72カ月(昨年は49組合・1.14カ月)だった。