65歳まで働き続けられる制度の基本的枠組みを確認/NTT労組大会

(2012年07月20日 調査・解析部)

[労使]

NTT東・西やドコモ、データなどNTTグループ企業の労組で構成するNTT労働組合(18万2,000人)は11~12日、宮城県・仙台市で定期大会を開催し、65歳まで働き続けられる制度の確立に向けた、処遇体系の再構築の基本的枠組みを確認した。また、連合の定期大会との開催時期を合わせるため、大会では向こう1年間に限定した運動方針も決定した。

50歳での退職・再雇用制度は廃止へ

NTT労組は、2月の中央委員会で、「採用から65歳まで働きがいをもって安心して働き続けられる制度」を目指すとする「基本スタンス」を決定。中央本部は主要8社に「申入書」を提出し、2012春闘を含めて労使協議を進めた結果、3月15日の回答日に、「60歳超えの雇用期間における働き方と環境整備に向けた考え方」「東日本、西日本、ファシリティーズ、コムウェアにおける『雇用形態選択制度』を含めた制度見直しの考え方」などの会社見解を引き出した。これを踏まえて、具体的な考え方を速やかに明らかにするよう求めたところ、4月5日に主要8社から、「今後の事業運営等を踏まえた処遇体系の再構築」の提案を受け、労使協議を進めてきた。

この間の経緯を踏まえてまとめた職場討議資料「変化への挑戦と次代への基盤づくりに向けて」によると、新たな人事処遇制度の基本的な枠組みとして、 (1)現行の処遇体系を再構築し、新たな「資格賃金、加給」及び「事業特性等に応じた手当」と「60歳超継続雇用スキーム」を創設する (2)新たな「資格賃金、加給」をプラットフォーム賃金として位置づける (3)地域加算手当の基準外化に伴い、「特別手当」相当を「事業特性等に応じた手当」等に活用する (4)「若年層」「中堅層」「ベテラン層」「成熟層」の4つのワークステージを設定する (5)ワークステージごとのレベルの伸長度合い等に応じた処遇とする (6)新たな「60歳超継続雇用スキーム」で「標準スキーム(年収300万円程度)」と「ハイレベルスキーム(年収400万円程度)」の雇用制度を創設する (7)「雇用形態選択制度(退職・再雇用制度)」を廃止する――ことなどが盛り込まれている。大会では、この基本的枠組みについて確認したうえで、今後、会社の2次提案を受け、交渉を強化していく考えだ。会社提案では、平成25年度から新制度へ移行するとしている。

あいさつした加藤友康委員長は、「採用から65歳まで働きがいをもって安心して働き続けられる制度」の確立に向けて、「懸案の退職・再雇用制度の廃止を含めた処遇体系の再構築だけに、複雑・多岐にわたる課題も存在しているが、全世代の共有意識を高めつつ組織的合意を図りたい」と強調した。現行の雇用形態選択制度は2002年に導入され、50歳時点で退職・再雇用を選択し、再雇用者は勤務地域が限定され、賃金が15~30%減額される。

このほか、大会では向こう1年間の「2012運動方針」と、3役の続投などを決定した。運動方針では、新たな人事・処遇制度の取り組み強化をはじめ、 (1)労組運動の強化・発展 (2)政治活動の推進 (3)仲間づくり (4)情報通信・情報サービス政策への取り組み (5)福祉サービスの向上を通じた組織強化の取り組み――を柱に据えた。

このうち「労組運動の強化・発展」では、「組織強化検討プロジェクト」で、企業本部・総支部体制の再編・統合に向けた検討を開始し、組織・運営体制のあり方、役職員配置、財政基盤等について今秋に「答申」をまとめ、これを受け来春の中央委員会で方針を提起する。