派遣法改正法の政省令案要綱等を妥当と了承/厚生労働省職業安定分科会

(2012年07月06日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会が5日開かれ、労働者派遣法改正法に係る改正政省令案要綱や、指針の改正告示案要綱など6本の同省案を、同分科会の労働力需給制度部会の報告(6月27日)通り、おおむね妥当と了承した。

労働者派遣法改正法には、 (1)日雇派遣の原則禁止 (2)グループ企業内派遣の8割規制 (3)離職後1年以内の受入れ禁止 (4)いわゆるマージン率等の情報公開の義務化 (5)労働者派遣契約解除時の派遣元・派遣先における新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等措置の義務化 (6)派遣元事業主に対し一定の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置の義務化が規定された。

また、「派遣労働者の賃金等決定に当たり、同種の業務に従事する派遣先労働者との均衡を考慮する」ことや、「違法派遣の場合、派遣先が違法と知りながら受け入れている場合には派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなすこと」などが盛り込まれ、本年3月に成立した。

これに伴い、同法で「政省令で定める」とされていた事項等をめぐり、施行に向けた検討が進められてきた。

派遣法改正法は10月1日に施行へ

了承された政令案要綱では、同法の施行期日を本年10月1日とした。

また、「日雇派遣の原則禁止」の例外業務(政令事項)については、「専門26業務のうち第1~2号、第5~13号、第16号(うち建築物または博覧会場における来訪者の受付または案内の業務に限る)、第17~20号、第23号、第25号」のいわゆる17.5業務とした。同じく、「日雇派遣の原則禁止」例外として認められる場合(政省令事項)では、日雇派遣労働者が、 (1)高齢者(60歳以上) (2)昼間学生(雇用保険法の適用を受けない学生) (3)生業収入が500万円以上で日雇派遣に副業として従事する者 (4)主たる生計者でなく世帯収入が500万円以上とした。

「グループ企業内派遣の8割規制」をめぐっては、グループ企業内(関係派遣先)の考え方(省令事項)について、「連結決算を導入している」場合は「派遣元事業主の親会社」と「親会社の連結子会社」、「連結決算を導入していない」場合は「派遣元事業主の親会社等」と「親会社等の子会社等」とした。「派遣元事業主の親会社等」としては、派遣元事業主の(1)議決権の過半数を所有している者 (2)資本金の過半数を出資している者 (3)これらと同等の支配力を有している者をあげている。また、派遣割合(省令事項)については、「事業年度における、派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者除く)の関係派遣先の派遣就業に係る総労働時間を、その事業年度における、当該派遣元事業主が雇用するすべての派遣労働者の派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合」とした。

無期転換推進措置は通算1年以上雇用と登録状態の者も対象へ

「いわゆるマージン率(派遣料金と派遣労働者賃金の差額の派遣料金に占める割合)等の情報公開」に関しては、情報提供すべき内容(省令事項)に、「労働者派遣に関する料金の平均額」「派遣労働者の賃金の平均額」「その他労働者派遣事業の業務に関し参考になると認められる事項」をあげた。また、情報提供の方法(省令事項)は、「事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他適切な方法により行う」とした。

一方、「一定の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置」をめぐっては、転換推進措置の対象者(省令事項)を、「派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上」の、 (1)期間を定めて雇用する派遣労働者と、 (2)派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者(登録型派遣の場合の登録状態にある労働者)とした。また、無期雇用への転換推進措置を講じるに当たっては(指針事項)、該当する派遣労働者等に対し、「労働契約の締結、更新等の機会を活用し、または電子メールを活用する等により、同措置を受けるかどうか等についての希望を把握するよう努めること」とした。

※この記事の詳細については、ビジネス・レーバー・トレンド8月号(7/25発刊)に掲載する予定です。