世界最大の国際産別組織、「インダストリオール」が誕生

(2012年07月04日 調査・解析部)

[労使]

3つの労働組合の国際産別組織(GUF)が組織統合して結成された「インダストリオール」(Industriall 本部=スイス・ジュネーブ)の結成大会が6月19、20の両日、デンマーク・コペンハーゲンで開催された。組織統合したのは、国際金属労連(IMF)、国際化学・エネルギー・鉱山一般労連(ICEM)、国際繊維被服皮革労組同盟(ITGLWF)の3組織。

インダストリオールは、世界140カ国の5,000万人の組合員を抱える世界最大のGUFとなった。インダストリオールの誕生により、石油やガス、鉱業、発電・配電、金属製品、化学、繊維製品などの多岐にわたる業界が、1つの産別にカバーされることになった。

結成大会には、世界各国の350労組組織から、1,000人を超える代議員が参加。大会では、役員を選出するとともに、組織規約、具体的な運動方針のアクション・プランなどを確認した。

初代会長に就いたのは、IMF会長だったベルトホルト・フーバー氏で、書記長には、IMF書記長だったユルキ・ライナ氏が選ばれた。

3人の副会長には、日本の島田尚信・UIゼンセン同盟副会長のほか、センゼニ・ゾクワナ氏(ICEM前会長)、R・トーマス・バッフェンバーガー氏(IMF前副会長)が就任した。アジア・太平洋地域から選出の執行委員(正委員)には、西原浩一郎・金属労協(IMF・JC)議長と種岡成一・電力総連会長も名を連ねている。

生産チェーン全体に関与

3組織が統合を決めた大きな背景には、経済のグローバル化や多国籍企業によるビジネスの国際展開が進んでいることがある。また、最近は、多国籍企業の事業展開の広がりによって、複数のGUFに加盟する各国の産別組織も出始めた。国際労働運動にとっては、世界的に公正な労働条件をどのように確保していくか、また、国境を越えてどのように労働者の連帯を図っていくかなどが中心的な課題として浮上している。

インダストリオールでは、3組織が統合したことで、石油やガスの抽出の現場から、鉱山資源などの発掘、発電・配電、金属加工、化学、繊維製品の現場などに至るまでの「生産チェーン全体」で戦略的に労働者を団結させ、運動を進めていくことができると期待している。

大会で採択した具体的な運動方針(アクション・プラン)では、労働組合組織の強化や組織化、不安定な労働(Precarious work)に対する取り組み、多国籍企業に対抗できる労組の力量発揮などを掲げた。

結成後の6月26日には、さっそく、欧州系のある鉱物資源採鉱会社での就労条件が劣悪だと主張し、抗議キャンペーンを張ることなどを発表した。