高速ツアーバス問題を受け、過労運転防止対策を策定/国土交通省の検討会

(2012年06月29日 調査・解析部)

[行政]

バス業界労使、学識者などで構成する「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」(座長:酒井一博労働科学研究所所長)は27日、乗客7人が死亡した関越道の高速バスツアー事故を受け、夜間運行する場合の運転手一日あたりの走行距離の上限を400㎞に見直すことなどを軸とする過労運転防止対策をとりまとめた。高速ツアーバスの利用者が急増する7月中旬から暫定的措置として実施する。

1日あたりの上限を400㎞に

これまで、バス運転手に対する運転時間は、厚生労働省告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の中で、「2日に平均し1日あたり9時間を超えないこと」とされている。また、運行距離については、国土交通省が指針で、一日あたりの上限を670㎞と定めていた。

新たに示された基準では、運行が午前2時から4時の深夜に及ぶ場合、一人の運転手について、実車距離の上限を400㎞、出庫から入庫までの乗務時間を10時間とし、いずれかが上限を超える場合は、交替運転手を用意すること義務づけた。ただし、上限距離については、バス事業者が、運行するバスにデジタル式運行記録計を装備し、それを用いた運行管理や、記録に基づく運転者指導を行うなど、特定の条件を満たす場合500㎞まで延長できるものとした。新基準に違反したバス会社に対しては行政処分を行う。

検討会では、見直し後の基準の実効性を確保するための措置も示した。運行管理が着実に実行されるようバス事業者の運行管理者に緊急講習を行うほか、各事業者に運行管理に関するチェックリストを送付し、結果を公表させる。7月から8月にかけて、対策の実施状況について抜き打ちで一斉点検も行う。

バス利用者が対策への実施状況を確認できるよう、ツアーの広告を出す際、運行経路と時間、交替運転者の有無、運行距離などを表示すること旅行会社に義務づけた。