今後のパートタイム労働対策を建議/厚労省審議会

(2012年06月22日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省の労働政策審議会は6月21日、厚生労働大臣に対し、今後のパートタイム労働対策について建議した。パートタイム労働法第8条について、有期労働契約法制の動向を念頭に、「 (1)3要件から無期労働契約要件を削除するとともに、 (2)職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理な相違が認められないとする法制を採ることが適当」とした。

有期労働契約法制との整合性が課題に

建議は、改正パートタイム労働法の施行3年後の見直し(附則第7条に規定)に向け、検討してきた雇用均等分科会の報告に基づくもの。同分科会では、「今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書」(2011年9月・リンク)を踏まえたうえで、現在、 (1)有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換や、 (2)期間の定めがあることを理由とする不合理な労働条件の禁止等を内容とする「労働契約法の一部改正法案」、及びパートタイム労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大措置を含む「国民年金法等の一部改正法案」が国会に提出されていることを念頭に、昨年9月以降、13回にわたる議論を重ねてきた。

報告では、法的整備も含めて10点にわたり、所要の措置を講ずることが適当と結論づけた。

パート労働法第8・9条の改定等を提起

まず、1.パートタイム労働法第8条については有期労働契約法制の動向を念頭に、「 (1)3要件から無期労働契約要件を削除するとともに、 (2)職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理な相違は認められないとする法制を採ることが適当」とした。

これに伴い現在、2.第9条第1項の均衡確保努力義務の対象外として例示されている通勤手当についても、「多様な性格を有していることから、一律に対象外とすることは適当ではない旨を明らかにすることが適当」とした。

また、3.通常労働者と職務の内容が同一で、人材活用の仕組みも少なくとも一定期間は同一のパートタイム労働者に対し、現在、当該期間は通常労働者と同一の方法で賃金を決定するよう努めるとしている第9条第2項については、「有期労働契約法制の動向を念頭に削除することが適当」とした。

雇入れ時等の説明・周知を強化

一方、4.賃金に関する均衡、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、通常労働者への転換といった「雇用管理の改善等に関する措置」に関しては、「事業主がパートタイム労働者の雇入れ時等に、当該事業所で講じている内容について説明することが適当」とした。

また、5.事業主は「パートタイム労働者からの苦情への対応のために担当者等を定めるとともに、雇入れ時等に周知を図ることが適当」とし、さらに6.パートタイム労働者が第13条に定める待遇の決定に当たり、考慮した事項の説明を求めたことを理由に、「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨(現行はパートタイム労働指針に規定)を、法律に位置づけることが適当」とした。

虚偽報告時等の過料や公表規定も整備へ

このほか、報告では7.「パートタイム労働者が親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由とし、解雇等が行われることは適当でない旨をパートタイム労働指針に規定することが適当」とした。

また、8.報告徴収の実効性を確保するため、「報告拒否または虚偽報告をした事業主に対する過料規定を整備」するとともに、「勧告に従わなかった事業主の公表規定を整備」し、さらに勧告を行う場合で必要と認められる時は、「措置計画の作成を求めることができるようにすることが適当」などとした。

労働政策審議会建議「今後のパートタイム労働対策について」/厚生労働省

▽参考:「今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書」PDF