ハローワークを通じた障がい者の就職が約6万件で過去最高に

(2012年05月16日 調査・解析部)

[労使]

厚生労働省は15日、2011年度における「障害者の職業紹介状況等」を公表した。雇用情勢が依然として厳しいなか、ハローワークを通じた障がい者の就職件数は、前年度比12.2%増の5万9,367件で過去最高となった。同省では、障がい者の就労意欲の高まりと企業における障がい者雇用の定着、ハローワークでのきめ細やかな支援が結果につながったとみている。

とくに精神障がい者で件数が増大

同省の発表によると、障がい者の新規求職申込件数は14万8,358件で、対前年度に比べて11.8%増加した。これに対し、有効求職者数は18万2,535人と同7.9%の増加で、就職件数は5万9,367件と同12.2%の伸び率となった(就職率は同0.1%増の40.0%)。

いずれも、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者などすべての障害種別で増加しており、とくに精神障がい者の件数の伸びが大きくなっている。精神障がい者の新規求職申込件数は、前年度比23.0%増の4万8,777件。これに対し、有効求職者数は同18.0%増の5万3,994件で、就職件数は同29.5%増の1万8,845件だった(就職率は同1.9%増の38.6%)。

精神障がい者の就職は、これが「実雇用率に算定されるようになった平成18年度以降、とくに大きく伸びてきている」(同省)。

産業別には「医療・福祉」、職業別は「農林漁業」の伸びが目立つ

就職件数を産業別にみると、「医療・福祉」(1万3,751件・23.2%)、「製造業」(9,282件・15.6%)、「卸売業・小売業」(9,203件・15.5%)が上位に挙がっており、中でも「医療・福祉」の前年度からの伸び(31.2%増)が大きくなっているのが目立つ。

職業別にみると、「生産工程・労務の職業」(2万7,315件・46.0%)の割合が大きく、「事務的職業」(1万1,992件・20.2%)、「専門的・技術的職業」(6,284件・10.6%)、「サービスの職業」(4,890件・8.2%)、「販売の職業」(3,956件・6.7%)――が続く。

これを障害種別にみると、身体障がい者については「事務的職業」(27.8%)、知的障がい者では「生産工程・労務の職業」(65.9%)、の割合が、他の障害種別に比べて高い。なお、前年度との比較では、すべての障害種別について、「農林漁業の職業」の伸び率(5.2%~46.8%増)が大きくなっている。

解雇者数は過去最低に

一方、障がい者の解雇者数は前年度を80人(6.0%減)下回る1,253人となり、「平成6年度からの集計開始以降、過去最低となった」(同省)。

障がい者の雇用をめぐっては、同省内に昨年11月、 (1)地域の就労支援の在り方に関する研究会 (2)障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会 (3)労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会――という3つの研究会が立ち上げられた。障がい者雇用の支援方策のさらなる充実や今後のあり方等について、それぞれ本年7月のとりまとめを目途に検討が進められている。