自動車、電機などの大手組合に一斉に回答/低下目立つ一時金水準

(2012年03月14日 調査・解析部)

[労使]

2012年の春季労使交渉(春闘)は14日に、自動車、電機など金属関係を中心に主要産業の経営側が一斉に回答した。交渉当初は定期昇給の確保が焦点となっていたが、大半の企業が組合要求通りの定期昇給・賃金(体系)カーブを維持したものの、東日本大震災、歴史的な円高、電力不足といった影響で業績の低迷が続くなか、一時金については前年実績を下回る回答が相次いだ。

今季交渉で金属労協傘下の大手組合の大多数がベアなどの賃金改善を見送ったため、一時金の交渉が焦点となった。トヨタ、本田は組合要求通り満額回答したものの、トヨタが前年実績を4万円下回る5.0カ月+3万円(年間178万円)、本田が0.9カ月下回る5.0カ月(年間183万1,000円)となった。日産は5.5カ月の組合要求に対し、回答は満額割れの5.3カ月(年間196万4,000円)となり、前年水準を0.2カ月下回った。

電機連合傘下の大手メーカー組合では、大半が業績連動方式をとっているが、交渉方式を採用している三菱電機は6.04カ月の組合要求に対して5.67カ月(年間159万1,000円)を回答、前年実績を月数・額(5.74カ月、年間161万6,000円)とも下回った。富士電機は前年実績を月数で0.08カ月上回る4.50カ月(年間141万9,900円)を回答した。

また、電機連合が今季交渉で1,000円増を統一要求とした18歳見合いの産業別最低賃金については、各社が500円増の15万4,500円を示した。

なお、三菱電機の回答には「経営計画遂行に重大な支障が生じた場合は、対策を期中に申し入れる可能性がある」との但し書きが示されている。

一方、鉄鋼や造船重機、非鉄金属の組合で構成する基幹労連の総合重工部門では、2年サイクルの賃金要求を踏まえ、向こう2年で3,000円の賃金改善を求めていたが、経営側からはゼロ回答となった。大手鉄鋼メーカーからは、子育て世代の支援に関する施策の充実に向けた回答が示された。

一時金についても住友金属が前年を20万円下回る130万円、神戸製鋼も同32万円減の103万円の回答となったが、総合重工部門では、三菱重工、IHI、住友重機、キャタピラージャパンなどでは、昨年を若干上回る一時金回答が示された。

機械金属関係の中小労組を主体に構成するJAMでは、賃上げ関係は主に賃金構造維持の回答を受けたが、コマツは賃金構造維持分に加え、年齢別最低賃金等の改善分として600円を有額回答した。

こうした結果を踏まえて金属労協は、「示された回答は、われわれの要求趣旨からすれば十分とはいえないものの、全体としては組合員の生活を守り、モチベーションを維持することのできる成果を確保することができた」などとする戦術委員会確認事項を公表した。