日立労組は5.5カ月、三菱電機労組は6.04カ月の一時金を/電機大手が春闘要求を提出

(2012年02月22日 調査・解析部)

[労使]

電機連合(有野正治委員長、64万1,000人)に加盟する大手電機メーカーの労働組合は、16日までに今春闘の要求書を経営側に提出した。賃金に関する要求では、電機連合の統一闘争方針に沿って、各労組が賃金体系の維持(現行賃金水準の維持)を求めた。一時金では、業績に応じて自動的に支給水準が決まる業績連動方式を採用していない日立製作所労組や三菱電機労組などが具体的な月数を掲げ、日立労組は5.5カ月、三菱電機労組は6.04カ月を要求した。パナソニックや東芝などの労組は業績連動方式を採用している。

電機連合傘下の大手電機メーカーの組合は、16日までに経営側への要求提出を終え、3月14日の回答指定日に向け、今週から経営側との具体的な交渉に入ったところが多い。出揃った要求内容をみると、賃金では、電機連合の統一要求基準に沿い、「開発・設計職基幹労働者」(年齢要素は30歳相当)の個別ポイントで、賃金体系の維持(現行個別賃金水準の確保)を図ることを要求した。また、同ポイントでの到達水準は27万円に設定している。

一時金の要求では、日立製作所労組が5.5カ月、三菱電機労組が6.04カ月、富士電機労組が5.0カ月、沖電気工業労組が5.0カ月、パイオニア労組が4.5カ月、明電舎労組が4.5カ月を求めた。パナソニック、東芝、富士通、NEC、シャープ、パナソニック電工、三洋電機、安川電機では営業利益などを指標にする業績連動方式を採用している。シャープは今回の春闘から業績連動方式に移行した。もともと業績連動方式だったパイオニア労組は、今回の春闘では要求方式で取り組むことにした。

中闘組合は3月1日までにスト権確立

電機連合では、大手14社の組合が中闘組合を形成し、春闘では産別統一闘争を組む。闘争期間中は、有野電機連合委員長を委員長とする「中央闘争委員会」が闘争方針を決定する。20日、電機連合は第1回中闘委員会を開催し、今春闘での闘争本部体制などを確認するとともに、交渉開始にあたって、「賃金体系の維持を至上命題とし、各組合の置かれている状況を踏まえ、格差改善や賃金水準の歪是正に主体的に取り組む」ことなどを指示した。また、中闘組合は3月1日までにスト権を確立し、スト指令権を同日中に中闘委員会に委譲することも指示し、確認した。

中闘組合からの報告では、日立製作所労組と富士電機労組から、65歳までの希望者全員の雇用の実現や育児・介護のための短時間勤務制度の拡充などが含まれる労働協約関係の要求について、3月初旬を目途に方向性を見出していきたいとの発言があった。

同日の午後には、電機連合と電経連(電機・電子・情報通信産業経営者連盟)の大手6社の役員クラスとの第1回産別労使交渉も行われた。

電機連合と電経連との産別交渉/電機連合