一時金、トヨタは5カ月+3万円、日産は5.5カ月/自動車メーカーの労組が要求提出

(2012年02月17日 調査・解析部)

[労使]

トヨタ自動車労働組合など大手自動車メーカーの労働組合は15日、一斉に今春闘の要求書を経営側に提出した。賃金では、メーカー組合すべてが賃金カーブ維持を求めた。一時金では、年間でトヨタ労組が5カ月プラス3万円、日産労組が5.5カ月、本田技研労組が5.0カ月を要求した。大手メーカーの集中回答日は3月14日。

トヨタは賃金制度維持分で7,300円を要求

この日、自動車総連(75万9,000人)の拡大先戦術会議に登録する11のメーカーと1部品メーカーの労組が要求を経営側に提出した。11メーカーは、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自工、スズキ、ダイハツ、富士重工、いすゞ、日野、ヤマハ発動機。部品メーカーでは、自動車用バネなどを製造する日本発条の労働組合が登録されている。

賃金では、12組合すべてが賃金カーブ維持分を図る要求内容となっている。トヨタ労組が「賃金制度維持分」として平均賃上げ方式で7,300円の賃上げを要求。日産労組は同部分として「賃金制度に基づく改訂原資」を要求した。ホンダ、マツダ、三菱自工、いすゞ、ヤマハ発動機の5社では、賃金カーブ維持分がすでに労使確認されており、組合側が要求しなくても確保されることになることから、要求書には記載されていない。

一時金の要求内容をみると、トヨタ=5カ月プラス3万円(昨年要求5カ月プラス7万円)、日産=5.5カ月(同5.5カ月)、ホンダ=5.0カ月(同5.9カ月)、マツダ=5カ月(同5カ月)三菱自工=4.3カ月(同4カ月)、スズキ=5.4カ月(同5.3カ月)、ダイハツ=5カ月プラス0.3カ月(同5カ月プラス0.3カ月)、富士重工=5カ月(同5カ月)などとなっている。

「相当数の組合が賃金改善に取り組む」(西原会長)

自動車総連の傘下組合では、2011春闘では、車体・部品、販売部門の540組合が賃金改善を要求し、130組合が何らかの改善を獲得した。この日、記者会見した自動車総連の西原浩一郎会長は、今春闘での賃金改善要求について、「要求提出が2月末までわたるので全体を把握しているわけではないが、要求する組合は減る可能性が高い。ただ、相当数の組合が賃金体系是正や格差改善に取り組む見通しだ」と語った。

一時金要求については、「ローンなど固定支出の要素が高まっており、組合員の期待も高い。しっかりと取り切る態勢を強化して全力で適正配分を求めたい」と述べるとともに、「この1年の組合員の努力と苦労、またこれからの働く意欲にどうつなげていくかを踏まえて各組合が組んだ要求であり、何としても満額を獲得しないといけない」と強調した。