総合重工組合が2年単位で3,000円の賃金改善を要求/基幹労連の2012春闘方針

(2012年02月10日 調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労働組合でつくる基幹労連(神津里季生委員長、約25万2,000人)は8日、都内で中央委員会を開き、今春闘の産別方針となる「AP12春季取り組みに関する件」を確認した。2年サイクルで賃金要求を行う基幹労連にとって、今春闘は賃金など主要な労働条件を要求する年にあたる。方針は、産別全体として賃金改善に取り組むことを確認。中堅、中小組合で業種ごとにつくる業種別部会で、3,000円の引き上げを目安に具体的な要求額を決定するとした。大手で構成する総合組合でも、三菱重工などの総合重工組合が2年単位での3,000円の賃金改善を要求する。

交渉は組合員はもとより、産業、企業のためになる

あいさつした神津委員長は、今回の賃金改善を中心に掲げた春闘方針について「今回のAP方針がまとめられる過程においては、さまざまな議論が積み重ねられてきたが、最終的に重きが置かれたのは、形を合わせるということではなく、何よりも全体を貫く思いをどのように認識し、そして全体で共有するかということであったと思う。そのことがなければ、AP方針として全体で取り組んでいこう、せいせいと要求をしていこうということにはならなかったと思う」としたうえで、「総合部門の労働条件の詳細や、業種別の到達取り組みの状況等、情報をしっかりとヨコ通しし、しっかりと成果に結びつけていこうではないか。巡回折衝や経営申し入れ、交渉対策の発信等を含め、産別本部として全力を投入し、交渉を支えていく決意だ」と強調した。

さらに、今回の交渉自体が「組合員のためであることはもとより、産業のため、そして各企業のためになる」と指摘。「そのことを通じて、企業として『人を惹きつける力』、『人の能力を引き出す力』をさらに高めていく、そのことに向けた労使の知恵と工夫の切磋琢磨、それこそが『好循環』と『人への投資』の真骨頂であり、AP12だ」と訴えた。

今回の春闘での取り組みについて、基幹労連は「震災復興・産業空洞化防止に向けた産業政策領域の取り組みと、低所得者層の増加による内需低迷への対応策など国内経済活性化に資する労働政策領域の取り組みをパッケージとして取り組む」ものと位置づけた。鉄鋼、造船重機、非鉄の各業種の業績状況は「総じて増収減益」(工藤智司事務局長)となっているが、「労働条件の引き上げや賃金改善に取り組むことで、国内経済を活性化させ、経済全体を回していく」(同)として、産別全体として賃金改善要求に踏み切った。

鉄鋼大手は子育て支援で財源投入を要求

具体的な要求内容をみていくと、賃金改善では、鉄鋼、総合重工、非鉄の各大手以外の中堅・中小組合で業種ごとに構成する業種別部会では、「部会でのまとまりを重視した要求を行う」とし、「業種別組合については、労働条件の底上げ・格差改善に取り組むこととし、3,000円の引き上げを目安に、具体的な水準については業種別部会ごとに設定する」とした。

大手の総合組合とそれに準ずる組合については、「各部会でのまとまりを中心に、各産業・企業課題や国内経済活性化等の観点で賃金改善に取り組む」とした。この方針をうけ、鉄鋼大手では、子育て支援に資する取り組みとしての財源投入を経営側に要求する。造船重機大手は、2年を1つの単位として3,000円の賃金改善を要求する。非鉄大手では、各組合が抱える個別課題に対する改善要求を行う。

総合のグループ・関連組合サポートも取り組みの目玉

今回の春闘では、交渉力を強化する狙いから、総合組合がグループ・関連内の中小組合の交渉支援に取り組むことも特徴の1つ。総合組合は、情報共有のほか、労使協議や経営協議会などさまざまなチャネルを使って、グループ・関連組合での労働条件引き上げの必要性などを訴えるとしている。

一時金については、金属労協の要求基準である「年間5カ月分以上を基本」を踏まえ、要求方式ごとに設定するとした。一時金の構成要素を「生活を考慮した要素」と「成果を反映した要素」とし、金額で要求する方式の組合は、生活考慮部分を120万円ないし130万円とし、成果反映部分は40万円を基本に設定する。「金額+月数」で要求する方式の組合は「40万円+4カ月」を基本とする。月数要求方式の組合は5カ月を基本とする。

賃金、一時金以外をみると、退職金では、中期ビジョンで掲げるガイドラインの「60歳・勤続42年・高卒、2,200万円」に向け、業種別部会ごとの判断で取り組む。総合重工部会では改善要求を掲げる。他業界に比べて遅れている「労働時間・休日・休暇」の取り組みでは、1,800時間台の実現に向けて休日増など、業種別部会ごとに判断して要求を設定する。

方針討議では、労働条件の底上げの取り組みについて「組織全体の連携を密にして、総合組合からの支援のなかであらゆる情報を共有していきたい」(三菱重工労組)、「グループ・関連組合の企業も一層競争力を求められており、魅力ある職場づくりが欠かせない。要求の段階からこれまで以上に連携したい」(新日鐵労連)などの決意表明があった。工藤事務局長は「交渉のなかでは経営側は、25万の組織で経済を活性化させることができるのかなど縷々述べるかもしれない。しかし、われわれは日本の基幹産業で組織している組合だ。組織名に基幹という言葉を使用していることに誇りを持って活動している。基幹労連から日本復活ののろしを上げる決意で取り組んで欲しい」と呼びかけた。

大手組合は10日に要求を一斉提出し3月14日の集中回答日に向けて交渉を追い込む。