統一ベア月額1,000円を要求/JR連合

(2012年02月08日 調査・解析部)

[労使]

JR連合(坪井義範会長、7万9,000人)は1日、広島市で拡大中央委員会を開催し、統一ベアとして1,000円を要求する今春闘方針を決定した。

JR連合では、05春闘から7単組を対象に「上位目標賃金」「必達目標賃金」の二つの目標賃金を設定している。2011年度の調査によれば、「上位目標賃金」の水準を完全に達成しているのはJR東海ユニオンのみで、JR西労組は若年層だけが到達している。JR四国労組、JR九州労組は「必達目標賃金」にも達しておらず、集計結果を公表していないが、JR北労組、貨物鉄産労も同様だと見られている。

JR連合は、目標達成に向け、今春闘でも統一ベア要求を方針に明記した。7単組は、平均賃金、個別賃金の両方式とも1,000円のベアを統一要求する。非正規労働者は、「時間給30円以上の引き上げ」を求め、時間給1,000円に達していない場合は、その実現を図る。

さらに厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が2013年から段階的に引き上げられることから、希望者全員を対象とした継続雇用制度の確立にも力を入れる。

一方、JR関連会社でつくるJRグループ労組に対しては、全単組の到達目標の「最低到達目標賃金」と業種別が当面目指す「分科会到達目標賃金」を設定。ベア1,000円、定期昇給込みでは5,000円を要求する。

今回の要求の背景には、昨年3月に九州新幹線が全線開業したことで、JR各社の第2四半期決算でJR九州と西日本が増収となったことがある。各社の年末年始の輸送実績も対前年度比1%増となるなど、足下では回復の兆しが見えている。昨年末に閣議決定された税制改正大綱で、JR三島会社、JR貨物に適用されている各社税制特例措置が延長されることになったのも、プラスの材料とみている。坪井会長は挨拶で「私たちは、取り巻く環境が厳しいとの認識を持ちつつも、JR各社の経営状況から判断すれば、公正な成果配分を求めて、春闘を戦いうると判断している。人への投資が安全な鉄道の鍵を握り、持続可能の企業の成長を支えるものだと確信している」と訴え、ベアの獲得に意欲をみせた。

一方、震災の後遺症や円高、欧州の金融不安などによる先行きの不透明感を理由に、経営側はベアに難色を示しており、交渉の難航は必至だ。