ベア2,500円を統一要求/私鉄総連拡大中央委員会

(2012年02月03日 調査・解析部)

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(渡辺幸一委員長、11万5,000人)は2日、都内で拡大中央委員会を開催し、2012年の春季生活闘争で、月額基本給を一人平均2.0%(定昇相当分)プラス2,500円(ベースアップ分)の引き上げを統一要求するなどの方針を決めた。

東日本大震災の影響で大手私鉄グループの第二四半期の連結決算はおおむね減収減益傾向となっていることから、今春闘は厳しい交渉が予想される。しかし、一方で、今年3月期の連結決算見込みでは、一年前に行われた同期の見込みよりも上方修正されているなど、各社の業績は回復基調にある。

渡辺委員長は挨拶の中で、こうした状況について、「震災以降、組合の懸命な努力があったからこそ達成できた。経営側はその努力に対して、誠意ある交渉姿勢と回答で応える責務がある」と訴えた。

2012年春闘方針では、私鉄・バス組合は各組合員の現行基本給について、一人平均で定期昇給相当分2.0%プラス2,500円(ベア分)の引き上げを統一要求する。加盟144組合の平均基本給平均基本給27万140円(平均年齢42歳、平均勤続17年)をもとに算出すると定期昇給分は5,400円。定期昇給制度のない組合はベア分と合わせて、7,900円を要求するかたちとなる。

賞与は2011年度に協定した月数の堅持を求める。賞与の支給水準を底上げするため、年間5カ月に満たない組合は5カ月を要求すること基本とした。

一方、ハイヤー・タクシーの専業組合は、基本給一人平均で2.0%(定昇相当分:定昇額1,500円+調整給2,040円)プラス2,500円(ベア分)の引き上げを要求。賞与は基本目標として年間5カ月分を掲げる。出来高制の賃金体系を取っている組合は、固定給中心の賃金の確立をめざす。

契約社員やパートタイマーなど非正規労働者の時間給についても、30円以上引き上げることを定めた。

ほかにも、今春闘で私鉄総連が賃金闘争と合わせて「車の両輪」と位置付ける交通政策闘争も方針に盛り込んだ。3日には、現在国会で継続審議となっている交通基本法の早期制定や東日本大震災で被災した交通機関の早期復旧・復興、地域公共交通の維持確保などを求め、国土交通省に対し、要請文を提出することも決議した。