連合の新年交歓会/野田首相ら政財界トップが出席

(2012年01月06日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は5日、都内で「2012新年交歓会」を開いた。古賀会長が主催者あいさつしたほか、野田佳彦内閣総理大臣、小宮山洋子厚生労働大臣、宮原耕治経団連副会長の政財界トップが来賓あいさつした。

底上げや底支え、格差是正に強力に取り組む(古賀連合会長)

冒頭、古賀会長は、雇用・経済情勢について「グローバリゼーションのますますの進展が大きく作用しながら、円高、デフレ経済の振興など極めて深刻な状況になっている。労働市場をみても非正規社員の増加や若年層の雇用不安も深刻化し、年収200万以下の層は1,100万人を、生活保護受給者は206万人を超えた。貧困・格差の問題が社会的に許容できる範囲を既に超えているのかも知れない」などと指摘。「労働運動として、底上げや底支え、格差是正に向けて強力に取り組んでいく必要がある」と強調した。

政治についても触れ、「野田総理が絶えず言っている『分厚い中間層』をもう一度再生させることが日本社会の安定と発展に必要。課題山積のなかで、今こそ政治のリーダーシップが問われている。課題をひとつずつスピーディーに解決していくことで、日本のこれからの行く末を安心と不安のない社会にしていかねばならないが、国民は政治不信に陥っている」などと述べたうえで、「政権を形成する与党が党内対立を繰り返す時間的余裕はもうない。ねじれ国会をどう乗り越えていくかの知恵と工夫を与野党ともに出していかねばならない」と訴えた。

そして最後に、「われわれも行動を起こす必要がある。一昨年12月にめざすべき社会像として『働くことを軸とする安心社会』を確認し、提起した。この考え方や理念を共有化するとともに社会的な合意形成を図る具体的な取り組みをスタートする年に位置づけたい」との決意を示した。

第四次補正と新年度の予算の早期成立を(野田首相)

来賓あいさつに立った野田内閣総理大臣は、「私共の内閣は昨年9月にスタートしたが、そのときに掲げた最大かつ最優先の課題は今年も変わらない。震災の復興と原発事故への対応に万全を期すことに加えて、日本経済の再生も引き続き宿題として残っている。昨年、三次に渡る補正予算を組み、円高、デフレ対策を切れ目なく講じてきた。ほどなく招集される通常国会で、まずは2.5兆円規模の第四次補正と新年度の予算の早期成立をめざしていく」と説明したうえで、「雇用情勢も依然、厳しい。通常国会では懸案である派遣法の改正や高年齢者法の改正、有期雇用契約の見直しなどを含む非正規雇用政策の拡充に特に力を入れていかねばならない」などと述べ、雇用対策を重視する姿勢を強調した。

さらに、「公務員人件費、(国会議員の)定数削減、郵政改革、そして税と社会保障の一体改革などさまざまな課題がある。大局を踏まえて政治が前進できるよう、古賀会長の言葉をしっかり旨に刻んで国会運営にあたりたい」とした。

雇用を中心とした国づくりを(小宮山厚労相)

雇用に重きを置くことに関しては、小宮山厚生労働大臣も、「雇用を中心とした国づくりを進めることが非常に重要。『分厚い中間層』を達成するには、一人ひとりが能力を発揮してしっかりと働け、しかもその働き方はディーセントワーク、尊厳が守られることが重要だ」と指摘したうえで、「この考え方は(連合がめざす)『働くことを軸とする安心社会』と基本的に通じるものがある。働く者の仲間の代表の連合の協力をお願いしたい」などと述べた。

労使の絆をベースに企業の持続的な発展を(宮原経団連副会長)

一方、経団連の宮原副会長は、日本の労使関係について「大震災からの復旧・復興で労使がみせた迅速な対応は世界に誇るこれまでの蓄積の賜物だ。この先もいろいろ困難なことがあるだろうが、労使の絆をベースにこの国の発展、企業の持続的な発展をめざしてともに進んでいきたい」と語った。

なお、交換会で連合は、「すべての働くもの、働くことを願うものの思いを結び付け、新しい社会のかたちをきりひらいていく」などとする「2012年新春アピール」を公表した。