ミズノがグローバル協定を締結/UIゼンセン同盟等が会見

(2011年11月18日 調査・解析部)

[労使]

ミズノ株式会社とITGLWF(国際繊維被服皮革労組同盟)、UIゼンセン同盟、ミズノユニオンは15日、グローバル枠組み協定を締結した。都内のUIゼンセン同盟本部で16日、ITGLWFの島田尚信会長(UIゼンセン同盟副会長)や、ミズノユニオンの黒川剛委員長らが会見で明らかにした。現在、世界で70以上のグローバル枠組み協定が締結されているが、ITGLWFではインディテックス社(スペイン、アパレル製造・小売)(2007年締結)に続き2例目、日系企業でも高島屋とUNI(ユニオン・ネットワーク・インターナショナル)(2008年)に続く2例目となる。

関係工場での紛争防止等に共同で取り組む

グローバル枠組み協定とは、ITGLWF※1のような国際産別組織が、関連する産業の経営者団体や、個別の多国籍企業と締結する協定を指す。ILО(国際労働機関)が定めている中核的8条約(結社の自由・団結権の保護、強制労働の廃止、児童労働の廃止、雇用における差別禁止※2の遵守などの公約を、協定という形で社会に広く宣言するものだ。

今回、ミズノ株式会社とITGLWF、UIゼンセン同盟、ミズノユニオンの四者間で締結した協定は、「国連世界人権宣言、現行のILО条約等で謳われている人権・基本的労働組合権保護及び国際労働基準の重要性を認識し、ミズノ株式会社及び関連企業において、とくにILО中核的8条約の適切な実施に共同で責任を負う」とともに、「協定の履行に関し問題が生じた場合は、共同で問題を早期に解決するためあらゆる努力をする」、また、「締結者間でできるだけ定期的に会合を開催し、協定の実施状況に関する情報交換を行う」などとするもの。

ミズノとITGLWFが互いをパートナーとして尊重しつつ、海外の関係工場で紛争や問題が起きた場合は共同で解決し、UIゼンセン同盟とミズノユニオンはその仲介役としての役割を果たす。また、海外の関係工場で紛争が起きるのを未然に防ぐため、会合を開催して情報交換を行う――といった内容が焦点になる。

「実質的にあるメカニズムを公表する意味合い」を強調(島田・ITGLWF会長)

ITGLWFの島田会長は会見の中で、「既に、ミズノとITGLWFは2004年のアテネオリンピックでのキャンペーンを境に、海外でミズノ製品を製造している自社工場や発注先の工場(サプライヤー)で働く、労働者の労働条件の向上のための対話を重ねてきた。そのため、仮にこれらの工場で問題が生じた場合は、実質的にITGLWF、ミズノ、UIゼンセン同盟及びミズノユニオンの間で、解決を図るメカニズムが確立されている。本協定はこれを確認し、公表する意味合いがある」などと述べた。

また、ミズノユニオンの黒川委員長も、「今後は国際的なフィールドでもチェック等機能を果たしていかなければならない責任の重さを感じている」などと述べた。

※1:1970年に結成。繊維、被服、皮革の組合が加盟する国際労働団体。世界全体で110カ国217組合、1,000万人が加盟している。本部はベルギー・ブリュッセル。繊維、衣料、皮革産業はグローバル経済化のなか、とりわけ厳しい競争に晒されている。その影響は途上国で、企業閉鎖による解雇や組合結成に伴う不当労働行為、12時間超えにわたる労働、賃金の遅配、劣悪な労働安全衛生水準、児童労働、強制労働などとして顕在化しているとされ、ITGLWFは自由にして民主的な労働組合の確立や、繊維、被服・皮革労働者の経済・社会的権益の擁護を目的に活動している。日本の加盟組織はUIゼンセン同盟のみ。2013年6月に国際金属労連(IMF)及び国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)との組織統合が予定されている。

※2: (1)第87号:結社の自由及び団結権の保護に関する条約 (2)第98号:団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約 (3)第29号:強制労働に関する条約 (4)第105号:強制労働の廃止に関する条約 (5)第138号:就業が認められるための最低年齢に関する条約 (6)第182号:最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約 (7)第100号:同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約 (8)第111号:雇用及び職業についての差別待遇に関する条約。