10月末高卒就職内定率、前年同期比15ポイント減の59.6%/日高教等調
(2009年12月9日 調査・解析部)
日本高等学校教職員組合(略称:日高教)と全国私立学校教職員組合連合(略称:全国私教連)は12月8日、来年春に卒業する高校生の就職内定状況に関する実態調査の結果を発表した。それによると、10月末現在の就職内定率は59.6%で、前年同期と比べて15ポイント減となり、内定率は2001~03年の就職氷河期に次ぐ低い水準で、前年と比べた下げ幅は調査開始(93年)以来、過去最大となった。調査は、全日制、定時制高校や障害児学校高等部など計459校を対象に実施、403校から回答を得た。
「新たな就職氷河期」である
就職内定率の09年の落ち込みは調査始まって以来最大のもので、率も就職氷河期に次ぐ水準となっている。これについて調査担当者は、「厳しいなりに、最終的にはそれなりの求人が出てきた就職氷河期に比べても、より求人の減少が深刻なため、改善の見通しが立たない状況で、『新たな就職氷河期』だ」としている。
就職内定率59.6%を男女別にみると、男子65.7%、女子50.5%で、前年同期比は男子で14.0ポイント、女子で16.7%ポイントの減となっている。以前から男女間の格差はあったが、04年以降は連続で10ポイント以上の差があったものの、今年はさらに深刻さが増した。15.2ポイントと過去最大の格差となっている。さらに、地域間格差が深刻で、内定率の高い「北陸・中部・東海」で71.9%なのに対して、「北海道・東北」は50.1%と、その差は21.8ポイントと大きく、この格差が固定化しているという。
「求人が減った」と回答した高校は80.2%。しかも、今後も求人数の回復は望めない状況で、自由回答では「最初の試験で不調だった生徒に対する手立てがない」との声が多く、現場の苦悩が現れている。
非正規などの採用については、高校側が消極的に対応しているため、10月末現在では内定者のうち0.9%と大きな数字にはなっていないが、「昨年から『不安定雇用の求人すらない』という傾向見られるため、注視する必要がある」としている。
内定取り消しについては、回答のあった369校のうち2校にとどまった。しかし、今年の特徴として、内定が出るまえの段階での求人取り消しが相次いでおり、回答368校のうち102校から、「応募書類提出後に求人取り消し」「受験翌日に求人取り消し」「面接後に求人取り消し」など226件の事例が報告されている。
日高教と全国私教連は、調査結果を踏まえ、「このままでは、就職を希望する多くの高校生が就職できないまま卒業していくのは必至の情勢だ」として、政府に対し、 (1)大企業の雇用破壊を規制し、雇用創出と新卒者の就職保障に対する企業の社会的責任を果たす (2)地方からの雇用創出を積極的に進める施策をとる (3)新卒者の公的職業訓練の充実、技能・資格取得への公的支援を推進する (4)新卒者の雇用と職業訓練促進のための規制と法整備を行う――を柱とする提言をまとめ、新卒者向けの雇用対策に盛り込むよう求めた。