「賃金カーブ維持分」の確保を/連合の2010春闘基本構想

[労使]

連合(古賀伸明会長)は10月29日に中央執行委員会を開き、2010春季生活闘争の「基本構想」を確認した。すべての組合が取り組むべき課題として、定期昇給に相当する「賃金カーブ維持分」の確保を提起。そのうえで、各産別は単組などの実態を踏まえて「賃金改善」に取り組むことを求めている。

基本構想は、多くの企業で減益が予想されていることや、働く人の賃金水準の低下が続き消費行動も低迷していること、雇用情勢が厳しいことなどの取り巻く環境を背景に、2010春闘を「賃金、労働時間をはじめとする労働諸条件の交渉を強化するとともに、現下の状況において勤労者の雇用と生活を守っていくことが必要だ」と指摘した。

そのうえで、すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)として、「賃金カーブ維持分を必ず確保する」ことを徹底し、賃金水準の低下に歯止めをかける姿勢を強調。さらに、各産別に対しては、産業・規模間格差や賃金体系上の歪み、賃金分布の隔たりの是正も含め、実態に合わせた賃金改善の取り組みを求めている。

ちなみに09春闘では、ミニマム運動課題で賃金カーブを維持することに加え、物価上昇に見合うベアを求めることで、「勤労者の実質生活の維持・確保」の実現をめざす方針を掲げたが、今回はベア要求の文言を外している。

また、基本構想は、組合員ではない非正規労働者の処遇改善に各組合が取り組むことも明記した。ミニマム運動課題では、「非正規労働者を含めた全労働者を対象に、賃金をはじめとする待遇改善に取り組む」とともに、賃金の底上げをはかるための企業内最低賃金協定の締結拡大と、水準の引き上げを盛り込んでいる。

一方、闘争体制については、09春闘で設置した「共闘連絡会議」(相場の波及力強化に向けて業種が近い産別組織ごとに情報交換などの取り組みを進める5つの共闘組織)の機能強化に努める。共闘会議ごとに、各産業の代表銘柄(労働者の職種、年齢、金属)の賃金水準の設定を検討することで、格差是正や賃金体系整備の取り組みを推進。あわせて、共闘会議に参加する産別は、先行組合の役割を担う中核組合を登録する。

さらに、パート労働者など非正規労働者の待遇改善をめざす「パート共闘会議」や中小・零細企業で働く労働者の賃金改善を求める「中小共闘」などの共闘組織の参加組織の拡大を図るとともに、内需型産業を中心に構成する有志共闘も含め、各共闘連絡会議との連携も強める。具体的には、三役メンバーで構成する戦術委員会に各共闘の代表の参加を求め、拡大戦術委員会の機能を強化する。

今後、基本構想をたたき台に11月5,6日の中央討論集会などで討議を重ね、12月3日の中央委員会で「闘争方針」として決定する予定。

(調査・解析部)
2009年 11月4日