「共助・共生」で社会・経済のパラダイムシフトを/古賀連合会長
連合の第6代会長に就任した古賀伸明・前事務局長(電機連合)をはじめ、会長代行の徳永秀昭氏(自治労委員長)と新設の女性代表として初めて会長代行に就任した岡本直美・NHK労連議長、新事務局長の南雲弘行氏(電力総連会長)が、定期大会終了後記者会見した。古賀会長は「新しい政治が幕を明けるとともに、新しい社会を作っていかなければならない」との抱負を語り、競争や公立ではなく、「共助・共生」の価値観によるバランスの取れた、「新たな経済システムに転換する重要な時期に来ている」との認識を示した。
労働者代表制の法制化で集団的労使関係を再構築する
会見の冒頭、古賀新会長は連合が結成された20年前、ベルリンの壁が崩壊し、冷戦終焉というパラダイムシフトに至った状況と「現在は同じ状況になっているのではないか」と指摘。リーマンショック以降の世界同時不況は、「カジノ資本主義」の行き詰まりを象徴しいており、「新たな経済システムに転換する重要な時期に来ている」との認識を示した。
そのうえで、連合が求めてきた民主党中心の政権交代が実現したことから、「新しい政治の幕開けとともに、新しい社会を作っていかなければならない」との意欲を表明。具体的な方向としては、向こう二年間の運動方針で力点を置く、「底割れした日本社会に歯止めをかけ、雇用を守り創出する」「地域に根差した顔の見える運動で、労働運動の社会的価値観を高め、働く人全体の幸せを追求する」「労働者代表制の法制化で集団的労使関係を再構築する」を3本柱にすえ、これを中心に運動展開する考えを強調した。とくに労働者代表制については、その法制化をテコに労働組合に衣替えさせ、組織拡大につなげたいとの考えを示した。
具体的な目標として、組織拡大に向けては、運動方針に盛り込まれた向こう2年間で700万連合の達成と結成20周年の提言で確認した向こう10年を展望して1,000万連合を目指すと表明。併せて、来年7月に予定される参院選挙は新政権の真価が問われるとともに、連合から組織内候補10人を擁立予定でいるため、「連合の組織力が問われるので、懸命に努力したい」と述べた。
また、改正法の審議が始まった労働者派遣法については、労働政策審議会の場を重視する考えを改めて示した。「連合は法改正について基本的な考えを持っているので、それを審議会で議論し、審議会の意向を受けて、議論をまとめる」と述べ、労働政策をめぐっては従来の三者構成主義を尊重する姿勢を強調した。
さらに、民主党の政策やマニフェストと構成組織の政策が一致しない、CO2の排出削減問題や高速道路の無料化などについては、「対話を深めていくしかない。どこまで幅寄せできるか、多角的に分析して方向付けを探っていくしかない」など述べ、政策協議を強化していく考えだ。
(調査・解析部)
2009年
10月14日