パート等の相互雇用あっせん協定を締結/UIゼンセンとJSD
UIゼンセン同盟(落合清四会長、107.1万人)と、サービス流通連合(JSD、八野正一会長、20.4万人)は13日、不況の影響で失業したパート等有期契約組合員の再就職先に係る情報を、双方の産業別組織間で融通し合う、「相互雇用あっせん協定」を締結した。両産別では同協定への理解・協力を、百貨店協会やスーパーマーケット協会、チェーンストア協会の業界団体にも、近く申し入れることにしている。
景気の先行き不透明感が高まるなか、小売・流通業界ではとくに、店舗閉鎖や事業再編といったリストラの加速が懸念されている。こうしたなか、スーパーや百貨店などの流通小売業を組織している両産別は、パート等有期契約組合員を多く抱えていることから(有期契約組合員の占める割合はUIゼンセン同盟46%、サービス流通連合38%)、組合員が職業能力を活かし、継続して同じ産業内で働き続けられるよう、産別を超えたセーフティネットの構築に踏み切った。
両産別が同日、「再就職ネットワークについての共同宣言」として正式調印したのは、(1)事業所閉鎖が発生し、当該労使で対応してもなお、再就職のあっせん・紹介が必要な場合は、両産別相互に依頼する(2)依頼を受けた産別は、部会または都道府県支部を通じて再就職のあっせん・紹介について加盟・所属組合に依頼する――という内容。これまでも両産別内では、事業所閉鎖等が発生し、個別企業で対応し切れない場合には、(同地域の)加盟組合に求人情報の共有や掘り起こし等を依頼する取り組みを進めてきたが、産別の枠を超えて協力するのは異例なことだ。
両組織で営業時間等についても検討中
両産別は07年12月、検討してきた統合論議を断念。しかし、「引き続き一産業一産別の理念と目標を共有し、組織間交流と政策協議の検討を行う」旨を共同文書で確認し、三役レベルの定例協議(年1回)と、部会間(UIゼンセン同盟流通部会とJSD間)の政策協議(年4回)を重ねてきた経緯がある。今回の共同宣言は、こうした協議が実ったものと言える。協定の意義について、UIゼンセン同盟の島田尚信書記長は、「同一業界である以上、政策の意識合わせは行った方が良い。その意味で、産別統合は断念したが、労働者サイドは大同団結していることを、経営側に知っておいてもらう契機になる」などと指摘した。
なお、両組織の政策協議では、喫緊に対処すべき課題として、「営業条件(正月営業を含めた営業日・営業時間等)と労働時間のあり方」等についても検討を重ねている。JSDの八野会長は会見の中で、「小売・流通業は消費人口の減少や消費性向の変化、他産業からの進出等により、これまでのビジネスモデルが通用しなくなってきている。今後、雇用維持をはじめ個別企業、産別組織内だけでは解決し得ない課題が増えてくると予想されるなか、産別組織をまたぐ政策協議を通じて課題を共有し、運動方針に結び付け、業界団体に提言する取り組みは重要になってくると考えている。今回の共同宣言で、そのための大きなスタートが切れたと認識している」などと述べた。
(調査・解析部)
2009年
10月14日