組織人員が10万人超まで回復/フード連合定期大会
食品産業関係の労組でつくるフード連合(渡邉和夫会長)は9月7~8両日、東京・有明で定期大会を開催し、向こう2年間の運動方針を決定した。大会では、05年度に9万5,000人まで落ち込んだ組織人員が、OB・組織アドバイザーの活用や相談機能の強化などにより、約10万310人(うちパート組合員数は5,150人)まで回復したことが報告された。
「なおいっそうの底上げが必要」(渡邉会長)
大会では、09春闘まとめ(6月30日現在の最終集計)として、賃金改善(ベア)を獲得した組合数は昨年(52組合)より若干少ない47組合となったものの、同一組合比では昨年を148円上回る、5,420円・1.86%となり、一時金についても昨年比で0.02カ月減少したが、年間5.19カ月と健闘したことなどが報告された。
また、労働条件関係では、時間外割増率の引上げについて、96組合が取り組み17組合で前進。企業内最賃は42組合が要求し、7組合で改善したほか、パートの組織化・処遇改善に関しても65組合が要求し、28組合で一定の成果を上げた。
こうした結果を受け、渡邉会長はあいさつで、「加盟組合それぞれの努力が集積された結果であり、相対的比較でよく闘ったとの評価も得たが、中身を個別に精査すれば、課題もいろいろある上なおいっそうの底上げの必要性を強く感じざるを得ない」などと総括した。
また、プロジェクトチームをつくって臨んだ、年間所定労働2,000時間超えを一掃する取り組みについて、「加盟組合の約三分の一に相当する100組合以上で依然、2,000時間超えがみられる。方針は立派でもその実現・検証を軽視するきらいのある労組の悪弊に依っていては、責任は果たせない」と述べ、取り組みをさらに強化し、2011年3月末までの「時短2,000ゼロ」を達成するよう要請した。
産業政策では民主党との連携強化
こうした経過報告を受け、大会では向こう2年間の運動方針として、(1) 食品労働者の雇用の安定・確保と労働条件の維持・向上 (2) 食の安全・安心の推進と食品産業政策の実現 (3) 食品労働者の総結集と組織強化 (4) 男女平等参画の推進――の4本柱を設定した。
そのうえで、春季生活闘争を構築するに当たっては、連合の共闘連絡会議や有志共闘に参加するとともに、フード連合として「先行組合共闘会議」(すべての主要組合の参加が基本)を組織することのほか、目標到達の実効性を高めるため、労働時間管理の徹底やパート等の処遇改善などを、共通して取り組むべき「労働協約改定共通課題」(仮称)として、到達闘争課題に位置づけることを確認。さらに合理化・雇用調整を未然に防止するため、事前協議を充実させつつ「労使雇用確保・創出共同宣言」による雇用安定化に取り組むこと――などを決定した。
また、産業政策の実現に向けては、08年度に策定した食品産業政策の考え方を基本に、食品に対する軽減税率の適用と、消費税の逆進性の緩和などをめざして、食品産業政策推進議員懇談会や民主党との連携を強化する方針を確認した。
大会では、役員改選を行い、渡邉会長、江森事務局長の続投を承認した。
(調査・解析部)
2009年
9月9日