公務・公共サービスの再生を基本方針に/国公労連定期大会

[労使]

全労連系の日本国家公務員労働組合連合会(国公労連、宮垣忠委員長、22組合、8万8,000人)は8月27日から3日間、東京・虎ノ門で定期大会を開き、2009年度の運動方針の柱として、国民との双方向の対話により公共サービスの再生を目指す「総対話MAP」運動を全国で展開することなどを確認した。

運動方針では政府の構造改革、規制緩和路線が今日の格差と貧困の拡大、国民生活の安全・安心の破壊をもたらしたと批判。こうした状況のなか、国家公務員の定員削減など公共サービスの切り捨てが行われ、「職員の心身の状態は極限に達している」と報告している。

このため、国公労連では09年度の基本方針として、「憲法をくらしと行政にいかす」をスローガンに、憲法に定められた国民の権利保障としての行政サービスを提供できる体制の確立に向けて、「二一世紀国公大運動」に取り組むことを確認した。具体的な目標として、(1)新たな定員合理化計画の策定阻止、国民本位の行財政・司法を支える体制の確立 (2)地方自治の本旨を歪める「地方分権改革」、国の責任を放棄する道州制の導入反対 (3)労働基本権の回復、中立・公正・効率的な行政を担保する民主的公務員制度の確立 (4)社会保障費や公務員の総人件費削減など国民・労働者犠牲の「構造改革」路線の転換――を掲げた。

これらの目標を実現するための具体的な方策として取り組むのが「総対話MAP」運動だ。公務・公共サービスの重要性を地方自治体、民間労働組合、国会議員などに訴えるとともに市民との対話集会や宣伝、署名行動を地方ブロックごとに地域の実情を踏まえて展開する。公務員バッシングが強まるなか、公務・公共サービスに対する国民の理解と共感を深めるのがねらいだ。

年金機構への採用問題を議論

大会2日目に行われた討論では、代議員から社会保険庁の解体に伴う日本年金機構への雇用問題に関する報告が目立った。一部の代議員からは「10年前に起こした交通事故で受けた懲戒処分のせいで日本年金機構への採用内定がもらえなかった者がいる」「ある職員は社保庁解体後、厚生労働省への転任を希望していたのに内定をもらえず、うつ状態になった」といった実態が明らかにされた。これに対し、執行部は「そもそも業務を継承するにもかかわらず、職員の雇用は一切継承しないという年金機構の採用の枠組みに問題がある。これは政府の相次ぐ年金制度の改悪や記録問題に関する責任を社保庁職員にのみ転嫁しようとするものであり、許されるものではない」と対応を厳しく非難。さらに「国公労連では国の責任や国民の権利を曖昧にする日本年金機構法の凍結を求める戦いを進めていきたい。あわせて年金業務の安定性を確保するため、業務に習熟した職員の雇用確保を訴えていく」と答弁した。

なお、役員選挙では委員長に宮垣忠氏(全運輸)、書記長に岡部勘市氏(全港建)がそれぞれ再任された。

(調査・解析部)
2009年 9月2日