来年2月に共済設立へ/全労連臨時大会

[労使]

全国労働組合総連合(大黒作治議長/略称:全労連)は7月31日、8月1日の両日、東京・浅草のホテルで臨時大会を開き、(1)雇用の安定 (2)生活できる雇用・賃金の実現 (3)失業時の生活保障の整備 (4)格差を固定化させない社会の実現――などの取り組みを強化する運動方針とともに、来年2月の全国労働組合総連合共済会の設立をめざし、事業項目に共済事業を加える規約改正を決めた。併せて、共済事業の運営規則案を確認し、正式決定する来年1月の評議員会をめどに組織内討議を詰めることとした。

「非正規組織化の強化を」(大黒議長)

あいさつした大黒議長は、「トヨタ、ホンダ、日産、パナソニック、キャノンなど名だたるメーカーが、真っ先に派遣切り、期間工切りを強行した。情け容赦のない大企業に対して、社会的責任を問う世論が高まっている」と大企業の姿勢を批判した。そのうえで、年越し派遣村などの動きに触れ、「『俺たちはモノではない人間なのだ』と組合を結成して立ち上がる仲間も出始め、雇用の継続や正社員化を勝ち取る事例も生まれている」と述べ、新たな運動が生まれつつあることを強調。「全国45カ所で県労連と市民団体などが協力して生活・労働相談ミニ派遣村を展開し、非正規の組織化が全国に広がっている。しかし、まだ部分的であり、さらに大きな組織づくりと雇用を守る闘いを発展させなければならない」と、非正規組織化の重要性を訴えた。

派遣法の抜本改正求める

運動方針は、昨年大会で決めた向こう2年間の方針を補強するもの。具体的な中身をみると、雇用の安定については、労働者派遣法の抜本的改正を掲げ、改正に製造業派遣の禁止や登録型派遣の禁止、違法派遣等の場合の派遣先企業の直接雇用義務付け、均等待遇原則などを盛り込むよう求めて、署名活動を展開し、世論喚起の運動を強めるとしている。

生活できる雇用・賃金の実現では、経済危機を内需主導で克服するため、生計費原則に基づく賃金改善を追求するとともに、全国一律時給1,000円の最低賃金制度の確立による底上げをめざす取り組みを強化。入札による価格ダンピングの行き過ぎが官製ワーキングプアを生み出しているとして、適正な労働条件を前提とした入札制度を担保する公契約条例の制定を求める請願運動を秋からスタートさせる。

失業時の生活保障の整備については、非正規労働者の社会保険加入の促進や給付資格要件の緩和、給付期間の改善などが急務だとしている。

格差を固定化させない社会の実現については、政府に対して、消費税増税によらない社会保障、教育など国民生活関連予算の拡充を求めており、賃金・労働条件改善の闘いとともに運動の両輪として位置づけている。

また、組織拡大では、非正規労働者、青年、中小未組織労働者をターゲットに、産別と地方組織の連携強化によって組織化を促進。全労連全体をカバーする共済制度を新設することで、組合加入のメリットを高め、組織化に弾みをつける考えだ。

臨時大会で予備提案された全労連共済運営規則は、組織討議を経て、来年1月の評議員会で正式決定される。

(調査・解析部)
2009年 8月5日