09春闘は「三段重ね」の要求を/連合中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は2日、都内で中央委員会を開き、2009年度の活動計画を確認した。高木会長は、09春闘では賃金カーブの維持と物価上昇分の確保、実質賃金の向上の「三段重ね」の要求が必要だと訴えた。同委員会では、連合会費の値上げを巡って議論したほか、衆院選挙に向けて民主党との政策協定も締結した。

高木会長は冒頭あいさつで09春闘の賃金改善について、賃金カーブの維持に加え、物価上昇に伴う賃金目減り分の確保と生産性向上分などを加味した実質賃金の向上の三点で要求を組み立てる考えを明らかにした。

連合 第53回 中央委員会

高木会長は、「労働分配率の低下に歯止めがかけられないまま可処分所得の低迷に苛まれる状況が続いている。労働分配率の低下が国民生活にもっとも深刻に影響している。三役会の議論で三段重ねの要求をめざす考え方は共有できた」とする一方で、構成組織のなかに「三段目(実質賃金の向上)は難しくないか、場合によっては二段目(物価上昇分の確保)も難しくないかなどの意見もある」と紹介。「今後さらに議論を積み重ねていく必要があるが、いずれにしても、連合の社会的責任を果たしていくためにも、チャレンジングな議論を展開して欲しい」と訴えた。

会費の月額10円の値上げを提案

 中央委員会では、「連合運動を支える財政基盤の確立に向けた組織討議資料案」を確認した。加盟産別が連合に支払っている一般会計会費を、地域協議会への専従者の配置や大衆行動などに充てる資金を確保するため、1995年以降、据え置かれている現行月額50円から10円値上げする内容。議論では、「討議資料とはいえ、連合会費の引き上げが10円という金額で示されたのは、極めて厳しい内容。多くの産別や加盟単組はゆとりのない財政状況のなかで、活動レベルをいかに下げないかの知恵と工夫を凝らしている。引き上げが決定されたら、無い袖を振れない現状で、どう財源を捻出していくか、かなり深刻に悩まなければならない実情を理解して欲しい」(JAM)、「この内容で何を組織討議すればいいのか。10円(の引き上げ)ありきで、産別が(その分を)拠出できるように1年間頑張って(解決策を)探せという意味なのか」(UIゼンセン同盟)などの声が上がった。

財政問題については、今後、来年7月まで討議を続け、来年の定期大会で「財政確立に関する方針案」を諮る。大会で方針が決まれば、2010年1月を目途に会費改定を行うことになる。

民主党と政策協定を締結

一方、中央委員会には民主党の小沢一郎代表が出席し、次期総選挙に向けて政策協定を結んだ。重点政策は、 (1) 内需主導型の経済システムへの転換 (2) 正規雇用の拡大、非正規労働者の待遇改善、積極的な就労支援、「働く貧困層」の解消など雇用就労形態による格差の是正と雇用におけるセーフティネットの整備・拡充 (3) 働き方の見直しと子育て支援の拡充等によるワーク・ライフ・バランスの実現 (4) 誰もが安心して暮らせる社会保障制度の確立――などの9項目で、具体的な政策課題としては、最低賃金の中期的な引き上げや、労働者派遣法改正の実現、「子ども手当」の創設などを盛り込んでいる。

小沢代表はあいさつで、「アメリカのサブプライムローンに端を発した金融危機が世界的な経済危機の様相を呈している。緊急対策が必要なのはその通りだが、本当にこういった大きな変動にも耐えて乗り越えていく日本をつくりあげるためには、国民の支持を背景に思い切った政策を実行する内閣でなければ解決できない」などと述べ、「政権交代の秋」を合い言葉に、衆院選への支援を要請した。

なお、連合は社民党、国民新党とも同内容の政策協定を締結しており、中央委員会終了後には、三党の代表を招き、政権交代実現をめざす「総決起集会」を開いた。