「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」が発足/生産性本部

(2008年9月26日 調査・解析部)

[動向]

仕事意欲に燃える女性と企業を応援し、性別ではなく個々人の意欲や能力に応じて処遇を行う、実効性ある仕組みづくりをめざす民間運動──「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」(代表幹事:岩田喜美枝・資生堂副社長、岡本直美・連合副会長/NHK論連議長、鹿嶋敬・実践女子大学教授、小林いずみ・メリルリンチ日本証券社長)の発足会見が22日、都内で開かれた。

会議発足の趣旨について、代表幹事の一人である鹿嶋氏は会見の中で、「ワーク・ライフ・バランス施策は整備されてきたが、女性の出産離職は依然として7割にものぼる。女性が働き続けるには、それだけの価値ある質の高い仕事が付与されていることが重要だ。しかしながら、直近の女性雇用管理基本調査をみると、男女とも採用する企業は減り、男性のみの採用が増えているほか、高卒では女性のみの採用が増加するなど、均等法制定から20年を経てむしろ、男性を基幹職、女性をその周辺労働とする傾向への回帰が垣間見られる。ポジティブ・アクションも一巡し、取り組み企業が減ってきている今こそ、女性が従事する仕事の質や処遇の向上に取り組まなければ・・という危機感を感じた」などと述べた。

また、同じく代表幹事を務める岩田氏は「労働行政に長く携わり、弊社でも人事担当役員を務めた経験を活かしながら運動を進めたい。成果は持ち返り、経営にも活かしたい。労働力人口が減少局面に入り、ビジネスのグローバル化が進む中、女性人材の無駄遣いを見直すことは企業にとっても有効だ。ポジティブ・アクションの難しさは、女性優遇になってはならない点にあるが、好事例をシェアすることで、目標を据え実行計画を立て、PDCAサイクルで不断に改善するという、ポジティブ・アクションの真の理解と取り組みが進んでいくのではないか」などと述べた。

会議では、女性の活躍を加速していくための活動の重点目標を、 (1) 経営者・管理職の意識改革と職場の風土改革の推進 (2) メンターによるサポートの促進 (3) 女性及び女性の活躍を応援する人々によるネットワークの形成 (4) 女性の能力を活かせる社会の実現──の4本に設定。

具体的には、意欲・能力ある女性への仕事領域の拡大や、公正な評価による昇進機会の提供について、経営者・管理職の理解を促すとともに、女性コア人材の育成を管理職の評価項目とするなど、取り組みの仕組みづくりを提案・支援していく。また、女性が第一線で活躍するための基盤として、メンター・メンティによるサポート体制の構築や、中核となる女性(管理職や現場のリーダークラス、総合職、海外教育機関の出身者等)同士の交流の場の形成のほか、女性の活躍を応援する企業、団体、機関の連携による全国的なネットワークづくりをめざす。さらに、出産・育児、介護などでライフステージが変化しても、継続就業可能な社会システムの整備に向けて、「正社員であっても柔軟に働ける仕組みづくり」や「転勤、コース転換のあり方の再考」「共働き分化の形成」等について、個別にタスクフォースを立ち上げメッセージを発信していくとしている。

会議は、牛尾治朗・ウシオ電機(株)代表取締役会長を顧問に据え、4代表幹事を含む11人の委員で構成(発足時点)。事務局は、社会経済生産性本部社会労働部が務める。