修正案排し、本部原案を可決/新組織の名称問題

[労使]

調査・解析部 2008年9月3日

修正案排し、本部原案を可決/新組織の名称問題

02年から検討をスタートした、都市交、全水道との地公三単産の組織統合をめぐっては、完全統一に向けた過渡的組織として昨年9月、「地域公共サービス労働組合連合会」を発足し、昨年10月より連合加盟単位を一本化している。その後、新たに統一委員会を立ち上げ、対等合併による新たな産別組織への移行をめざして、名称や組合費の問題をはじめ、綱領や規約、運動方針のあり方等に係る協議を進めてきた。

そうしたなか、自治労サイドは新組織の名称を自治労(のまま)とする努力を続けてきたが、この路線での3者の歩み寄りは困難となったことから、「新名称は新たな産別組織、運動のあり方をどう考えるかの課題と一体で議論すべき。今後は『自治労』以外の新たな産別名称を選択することを基本姿勢に統合協議に臨む。大会以降、綱領、規約、財政等の新組織の根幹に係わる課題の議論を本格化させ、2010年秋の産別統合が確実となるよう全力をあげる」――などとする方針を本大会に提起していた。

これに対し28日の大会初日、青森、長野、愛媛、佐賀、沖縄の5県本部が連名で、「(本部原案にある今後の対応方針部分全文を削除し)地公三単産の組織統合に時間をかけ組織討議を行ってきたが、この間の討論経過や情報開示は不十分で、進め方に問題があり充分な合意を形成するまでに至っていない。よって今後の基本姿勢は、名称問題や部門別組織のあり方を含む新組織の基本構造の討議を継続・深化させる。綱領、規約、財政についても、迅速な情報提供と丁寧な組織討議を踏まえ、自治労組織内の合意形成を得る」――などと書き換える、補強修正案を提出。「自治労という名称がなくなると(全労連加盟の自治労連と競合してきた歴史からしても)結集力、社会的影響力が低下してしまう」「自治労と他二産別の組織人員はあまりにかけ離れており、むしろ吸収合併と考えるべきではないか」「新組織に作る交通、水関連等の部門別組織は、産別内産別、二重組織に他ならないのではないか」――といった不満・懸念が噴出。2日間にわたる質疑・討論でも、「今大会で名称問題を乗り越え、むしろ組織の根幹に係る議論に時間を割くべきだ」(東京、福岡ほか)、「新組織の姿が不明確な現段階で名称変更だけを拙速に決定する必要はない」(大分、福島ほか)――など、最後まで賛否両論が交錯した。

こうした状況を踏まえて実施された採決では、(出席代議員総数892のうち)本部原案に賛成579、修正案に賛成256となり、本部原案を過半数(447以上)の賛成で可決した。ただ、採決直前に「3分の2(595)以上の賛成をもって可決すべき」とする動議(香川県本部提出。賛成267で否決)も提出されていたことから、仮にこれが成立していれば否決を免れない薄氷を踏むギリギリでの可決となった。

今回の決定により地公三単産の組織統合協議はいよいよ本格化するが、大会の同問題をめぐる質疑・討論では、賛成派からも、本部の進め方や曖昧な答弁に対する不信の高まりのほか、経過報告・情報提供が不充分なことへの不満が表面化した。本部はすでに決定しているスケジュール通り、来夏大会で新名称を含む綱領、規約、運動方針等の組織討議案(共通文書)を提起し、2010年大会でこれを3分の2の賛成をもって可決。秋には新組織へ移行する青写真を描くが、その実現にはこれまで以上に慎重な組織調整が求められそうだ。