連合、全労協に共同行動を呼びかけ/全労連定期大会

(調査・解析部)

[労使]

全労連は7月23日から25日までの3日間、東京・江東区で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を確認した。新方針は「貧困をなくす」運動の前進を強調。派遣やパート労働者の待遇改善と組織化をサポートする「非正規雇用労働者全国センター」を発足させるなど、組織拡大の体制固めにも力点を置いている。大会では、新議長に大黒作治自治労連委員長を選出した。

物価上昇に目を向けた賃金闘争を

新運動方針は、「憲法を職場と地域にいかす運動」を基本に、生活保護基準を下回る所得の解消と安定した雇用の保障などをめざす「なくせ貧困運動」や、地域間格差の拡大に反対し、是正を求める「住み続けたい地域運動」の展開などを掲げた。

具体的には、原油や穀物価格などの物価高騰が生活を圧迫させていることに目を向けた「なくせ貧困・生活危機突破」の運動を全国の職場・地域に呼びかける。11月13日にはストライキも含む統一行動を配置するなど、08秋闘から09春闘にかけて取り組みを強化する方針。すべての労働者の賃金底上げや、「時給1,000円」以上の早期達成、非正規労働者の均等待遇実現なども強調している。

格差と貧困解消のために共同を

あいさつした坂内三夫議長は、「(現在の)経済や社会システムが崖っぷちに立たされ、どこも崩壊寸前に陥っている」などと指摘。「格差と貧困が拡大するなかで、資本主義に代わる新しいシステムが必要ではないかという声が世界に広がっている」との認識を示したうえで、「実際の運動をめぐっても、最低賃金や派遣労働、タクシーの規制緩和や医師・看護師不足の問題、後期高齢者医療制度などで、要求と運動が国会を動かす新しいプロセスが始まっている」と述べた。

そして、「貧困と格差をなくす課題を正面に据え、統一して闘えば大きく前進する可能性が切り開かれている」として、「連合、全労協をはじめとするすべての労働組合、労働者、民主勢力・市民団体に、今こそ小異を残して大同につき、格差と貧困の解消のために共同して闘うことを呼びかけたい」と訴えた。

非正規センターを正式に発足

今大会では「非正規雇用労働者全国センター(非正規センター)」の発足などの組織運動面での強化方針も決めた。

「非正規センター」は、パートや派遣などの非正規労働者の要求実現と労働組合への組織化を支援。学者や文化人、弁護士などをサポーターとして組織し、政策提言や労働相談、実態調査、情報発信などを行う。また、団塊世代の退職者についても、雇用継続期の組合員の継続や、退職後の年金者組合の加入促進などの検討を推進。組織拡大の取り組みに充てる「組織拡大推進費」(2008~2010年度の3年間で5,000万円規模の財源)の新設も確認した。

坂内議長は、「格差と貧困をなくす闘いの前進にとって、強大な労働組合の建設、労働者の組織率の前進が不可欠。(来年11月の)結成20周年を史上最高の峰で迎えよう」などと訴えた。

国際活動強化に向けた行動綱領の改正も

このほか、国際活動についての行動綱領も改定した。全労連はこれまで「当面はいかなる国際組織にも加盟せず」と行動綱領に明記して国際活動を進めてきた。経済のグローバル化の進展に伴う多国籍企業対策など、労組の国際連帯の強化が求められるなか、「綱領の既定が活動領域を制限しかねない状況にある」として、同記述部分を削除し、今後の活動に幅をもたせた格好だ。

なお、坂内議長は今大会で退任し、後任に大黒作治自治労連委員長を選んだ。小田川義和事務局長(国公労連)は再任された。