物価高騰で緊急提言/連合

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は7月17日の中央執行委員会で、輸入原材料の物価高緊急提言「原油・食料などの生活品の物価高騰に対する緊急対策について」を確認した。中低所得者層を中心とする所得税減税の実施や生活困窮世帯への補助金制度の創設などを訴えている。

提言は、現下の物価状況を、「原油や食料など輸入原材料を中心としうたコストプッシュ型の物価上昇が起こっている」と指摘。国民の生活については、「景気は減速しているとの判断が増えているが、これまでの長期間の景気回復期ですら一般国民には実感がなかったことを考えれば、相当苦しい状況にある」、「生活必需品の価格が上がる一方で、配分の歪みから家計所得は伸び悩んでおり、特に生活困窮世帯に与える影響は甚大だ」など説明している。中小企業などの状況に関しても、「価格転嫁しにくい状況下、中小・下請け企業、農林漁業の自営業者などには原油高騰が収益圧迫要因として大問題」などの認識を示した。

そのうえで、政府のとるべき政策として、「物価上昇による実質所得が低下しないための政策」と「原油・食料などの需給バランスを正常にもどし価格を安定させる政策」の実施を求めている。

具体的には、 (1)中低所得者層を中心とする所得税減税や生活困窮世帯に対する補助金制度の創設の検討 (2)生活扶助基準の見直しと、生活保護の申請受付等の改善 (3)生活困窮世帯に対し、灯油値上がり分相当を助成する「福祉灯油制度」の整備の徹底 (4)揮発油税等の暫定税率について、2008年度内は凍結し2009年度以降は廃止する (5)収益への圧迫が大きい中小・下請け企業などに対する石油国家備蓄の供給などの支援策の検討 (6)独禁法、下請法などの法令遵守と取引適正化ガイドラインを踏まえた業界への指導徹底――などの緊急対策を打ち出している。

高木会長は同日の記者会見で、「昨今の原油・原材料高、食料品高等の影響がかなり広がっており、特に収入レベル別にみると処遇の低い層の実質的な物価上昇から受ける影響が大きい。こういう状況を踏まえた施策を求めていかねばならないとして、急遽、議論し、とりあえずの内容を確認した」などと話した。提言の内容について、近く福田康夫首相に申し入れるという。