国家公務員の約1割が80時間超の残業/霞国公調査

(調査・解析部)

[労使]

東京・霞が関で働く国家公務員の9.3%が、月80時間を超える残業をしている――。中央府庁の労組が加盟する霞が関国家公務員労働組合共闘会議(略称:霞国公、笠原洋一議長)などが7月16日に発表した調査でこんな実態が浮き彫りになった。同会議は「残業の実態は深刻で、早急な対策が求められる」などと訴えている。

霞国公が発表した「残業実態アンケート結果」によると、東京・霞が関の中央府庁で働く職員の昨年1年間の月平均の残業時間は37.7時間。前年(39.1時間)より1.4時間減ったものの、年代別で20代と30代が平均40時間を超えているなど、若年層を中心に高水準で推移している。

残業時間別の状況をみると、「80時間以上」が9.3%で、10人に1人が過労死の危険ラインにいることがわかる。実際、「80時間以上」の残業があったと答えた職員のうち、17.8%が「現在、過労死の危険を感じている」と回答。「過去に過労死の危険を感じたことがあった」職員も36.3%いた。

人事院は、時間外労働の上限目安として年間360時間(月平均30時間)を目標に指針を定めているが、この目安時間を超えて残業する職員は47.4%と、半数近くに達している。

省庁別では、旧厚生省の職員でつくる全厚生がもっとも多く月平均75.8時間。以下、旧労働省の全労働(72.8時間)、経済産業省の全経済(50.3時間)、旧運輸省の全運輸(46.2時間)などが続く。同会議は、「旧厚生は社会保険や医療、食品などの対応。旧労働は労働法制の改正やワーキング・プアなどの国会対応や資料請求など、幅広く国民生活に密着しているため、残業が多くなることが否めない」などと説明している。

こうした残業の原因(2項目選択)は、「業務量が多いため(定員不足)」がもっとも高く64.2%。次いで、「国会対応のため」(22.7%)、「不合理な仕事の進め方」(22.4%)、「職場のかえりづらい雰囲気のため」(10.7%)など。同会議は、「業務量に見合う職員が十分に配置されていないことが、霞ヶ関の長時間労働のもっとも大きな要因になっている。また、国会対応は全職員が対応していることではないのに比率は高い。改善には、議員の質問を早く通告してもらうことが急務だ」などと話している。

なお、業務における疲労や精神的ストレスについては、全体の3分の2が「感じている」としており、その主な原因に仕事の量や職場の人間関係、残業・休日出勤などがあがっていた。また、「体の具合が悪くて休みたかったが休めなかったことがある」との回答も過半数に上った。

調査は今年3月、霞国公に参加する12組合を対象に、2007年の残業実態などについてアンケート調査を実施し、4,617人の回答をまとめた。霞が関の中央省庁で働く一般職員の1割に相当するという。