労働者派遣法の抜本改正をめざす/全国ユニオン定期大会

(調査・解析部)

[労使]

派遣やパートなどの非正規労働者を多く組織する全国ユニオン(鴨桃代会長・約3000人)は12日、東京・水道橋の全水道会館で第7回定期大会を開き、常用雇用を原則とした労働者派遣法の抜本改正をめざす取り組みとともに、(1)さまざまな働き方、業種・職種に応じた組織化の強化(2)「誰でもどこでも1200円」を掲げる賃金改善要求基準――などを柱とする08年度の活動方針を決めた。

「未来に希望の持てる派遣法を」

挨拶した鴨会長は、様々な問題が指摘されている日雇い派遣について、「日雇い派遣は、究極の品格のない働き方。生活も雇用も不安定におかれ、明日のことしか考えられない非人間的な働き方だ」と指摘。そのうえで、政局の焦点ともなっている労働者派遣法の改正論議にふれ、「まさに未来に希望の持てる派遣法をつくる時がきたと思う。ディーセントワークを求める闘いを切り開くものとして力を結集したい」と訴えた。

派遣法の抜本改正をめざす取り組みの具体的要求としては、(1)派遣対象業務の専門業務への限定(2)常用型派遣を原則とする労働者派遣制度への転換(3)マージン率の上限規制――の3点を重点項目と位置づけている。昨年から連続して5回にわたり、国会議員会館内で、野党各党だけでなく与党公明党も交えた派遣法改正に関するシンポジウムを開催するなどの活動を展開。今月25日には、東京・御茶ノ水の総評会館で、民主党、共産党、社民党、国民新党の党首クラスを集め、次期臨時国会での派遣法改正を訴えるシンポジウムを開く予定だ。

全国ユニオンを構成する各地域ユニオンは、従来の企業別労組が取り組んで来なかった、非正規・有期雇用労働者や管理職の問題をいち早く取り上げ、地域をベースに主に中小零細で働く労働者を対象に運動を展開してきた。

日雇い派遣問題で各方面に要請行動を展開

06年暮れから、日雇い派遣で働く労働者を中心とする派遣ユニオンの活動を本格化。フルキャストユニオン、グッドウィルユニオンなどの日雇い労組を次々と立ち上げて、理由の不明確な給与控除であるデータ装備費の返還を請求するとともに、日雇い派遣の現場の劣悪な労働環境の改善を求めてきた。違法行為を繰り返し廃業に追い込まれたグッドウィルへの対策では、会社に派遣労働者の雇用確保を最優先とするよう要請。政府に対しても、緊急の雇用対策や日雇い保険・雇用保険への遡及加入を認めるよう求めている。また、14日には、NPO派遣労働ネットワークなどとともに、日本経団連、日本人材派遣協会に対して、「グッドウィル廃業に伴う日雇い派遣労働者の雇用確保等に関する要請書」を手渡して、財界、業界としての対応を訴えた。