08春季生活闘争の中間まとめを確認/連合・中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は5月27日、都内で中央委員会を開き、「2008春季生活闘争の中間まとめ」を確認した。高木会長は「構成組織は頑張ったが、めざした個人消費の回復をはかるレベルには達し得なかったと言わざるを得ない、またトータルで労働分配率を引き上げ、付加価値配分の歪みを是正するとの所期の目的を達成することはできなかった」と総括。そのうえで、今後の果たすべき役割について「改めて検討する」としている。

連合が5月23日に公表した08春闘の回答・妥結集計(5月21日現在)によると、組合員一人あたりの賃上げ額は、4,309組合の平均で5,432円(定昇分込み)。昨年と比較できる3,660組合では5,571円で、前年同期を17円上回ったものの、アップ率では1.89%となり変わらなかった。分野別の共闘組織を軸に取り組んだ妥結状況をみると、組合員規模300人未満の「中小共闘」は単純平均で4,008円(前年比97円増)、「パート共闘」は時給14.37円(同0.46円増)の引き上げ。時間外手当の改定を要求した「割増共闘」は、平日・月45時間以下の割増率の引き上げについて56組合で回答を得ており、割増率の平均は交渉前に比べて3.1ポイント増の29.5%などとなっている。

社会的分配の是正では不十分

中間まとめは、連合全体では、「概ね昨年と同額もしくは昨年を上回る賃金改善の結果だった。最大のヤマ場で飛躍的に多くの回答を引き出した産別や新たな共闘の努力の結果であり、社会的相場形成に一定の役割を果たした」と、賃上げの流れを継続させた面を評価しながらも、連合がマクロ経済面での課題とした社会的分配の是正という観点からは、「労働分配率の反転や分配の歪みの是正、可処分所得の増大までの成果を引き出したとは受け止められず、不十分な結果と言わざるを得ない」と総括している。

一方、格差是正の柱に置く中小の取り組みについては、「昨年を上回る結果となった」などと評価。また、パート労働者の待遇改善でも、「待遇改善に取り組んだ組合は昨年より微増だったものの、時間給や人事諸制度の改善を要求した組合は大幅に増加するなど、内容がより充実した」と強調したうえで、「時間給の引き上げは、昨年をわずかに上回る結果であるが、パート共闘参加産別・単組が個人消費の影響を強く受ける内需産業中心であることを踏まえれば、厳しい環境の中で精一杯頑張った結果だ」とした。

労働時間短縮では割増率だけでなく、適正な時間管理を要求する組合が増えたことをあげ、「ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みの広がりと言える」と指摘。時間外割増率の引き上げについても、「15年ぶりの取り組みのなかで、一部の組合とはいえ前進回答を引き出したことは、今後の運動展開への下地づくりになった」としている。

大手組合の牽引力の視点も留意

一方、来春闘の方針策定に向けた課題としては、 (1) 連合はマクロの基準の提示と調整を行ない、産別は産別自決による妥結と結果の情報開示を行うべき、 (2) ベアを含めた賃金改善を明確に示すことで産別方針につながる提起をするべき、との2つの意見があることを説明。それを踏まえたうえで、「今後、連合としての役割について改めて検討する」としている。今後の課題について高木会長は「いろいろな反省点も踏まえ、中期的にどんな目標に向かっていくのか、そして経済環境の悪化が懸念される状況のもとで、09年春季生活闘争での要求をどう組み立てて行くのかきちんと検討していく」と強調。検討に当たっては「労働運動の社会的な役割と責任、特に大手組合の牽引力という視点にも留意していく必要がある」と述べた。

また、大勢が継続協議になった時間外割増率の引き上げついて、「継続協議だから交渉を続ければ良い訳だが、果たして交渉の先に展望が開けているのか、難しい交渉を想定しておかねばならない」としたうえで、「経営側がグローバルスタンダードの50%、100%の割増率を認めないというなら、時間外・休日労働を拒否する対応を行うくらいの心構えがないと局面の打開はできない」などと訴えた。

昨年下半期で約3万3,000人拡大――目標の達成率は5%と低迷

中央委員会では昨年10月の大会で確認した「組合づくり・第4次アクションプラン21」の第1期(07年10月~08年3月)集計を報告した。それによると、昨年10月から今年3月までの半年間における組織拡大の実績は3万2,992人。連合が掲げた目標(07年10月~09年9月の2年間で65万人)に対する現時点での達成率は、わずか5.08%にとどまった。

拡大に向けた取り組み状況では、20組織から新たな94組合の結成(8,616人)、14組織から新規加盟34組合(7,817人)、8組織から組織再編による増員(3,544人)など、合計で3万1,664人を組織化した報告があった。うち、重点ターゲットであるパートや派遣、契約労働者等の組織化は1万854人で、拡大実績総数の3分の1強を占めている。なお、地方連合会に設置されている地域ユニオンでは47組合で1,328人が新たに加わった。

こうした状況について高木会長は、「拡大実績は4万人にも達しておらず、低調だと言わざるを得ない。昨年は13年ぶりに組合員数が増加したが、今年はまたマイナスになるのではないか」と強い危機感を示した。

このほか、中央委員会では、登録型派遣の抜本的な見直しなどを盛り込んだ「2009年度連合の重点政策」を確認。特別報告として、「モデル106地協」の検証と評価を行ってきた「地方活動フォローアップ特別委員会」(委員長:渡邉和夫フード連合会長)の最終報告も確認した。