底上げ進む中小企業の賃金改善/中小共闘センター

(調査・解析部)

[労使]

「中小共闘センター」(委員長:河野和治・JAM会長)は31日、今春闘の妥結状況(第2回集計)を公表した。3月28日までに妥結した653組合の賃上げ額(単純平均)は定昇分込み5,135円で、前年同時期を236円上回っている。

「中小共闘センター」は、組合員300人未満の中小労組の賃金の底上げと大手との格差是正をめざして04年春闘からスタートした取り組み。連合に加盟する30産別が参加し、賃金実態の把握と情報共有を進めることで、大手の回答に左右されない相場づくりをめざしてきた。同センターがまとめた妥結状況によると、先月28日までに妥結した従業員300人未満の中小労組653組合の単純平均(定期昇給分を含む)は額で5,135円、率で1.99%となり、昨年同時期の実績をそれぞれ236円、0.10ポイント上回った。

これを規模別にみると、100人未満の組合が昨年より157円高い5,137円で、100~299人の組合の5,132円(前年同時期比342円増)を若干上回る。業種別でも、妥結組合の多い製造業で100人未満が100~299人の組合より 154円高い5,345円。商業・流通やその他(電力や情報、サービスなど)のでも5,500円を超えているなど、100人未満規模の組合の健闘ぶりが目立つ。また、同センターが賃金カーブ維持分の目安とする4,500円を超えて妥結した組合も、前年同時期比2.9ポイント増の64.5%と好調を持続している。

河野会長は報告会で、「団塊の世代が定年を迎え、賃金を上げてでも人を採らなければならない状況になっている」と指摘。「99人以下の企業での頑張りが、賃金の底上げと格差是正の数字となって出ている。底上げの流れをさらに強めていきたい」と述べた。

5,500円の妥結基準を設定

この結果を受けて中小共闘センターは同日、今月第2週までの解決をめざす単組に対し、妥結基準を設定した。賃金改善分について、賃金カーブの算定が可能な組合は「昨年妥結実績に500円以上の上積み」、算定が困難な組合には「定昇分を含む賃金引き上げ5,500円以上の確保」を図る。100人未満規模の交通・運輸以外の業種別の妥結平均が、5,300~5,600円台で推移していたこともあり、「現時点での100人未満規模の単組の頑張りに応えて」(河野会長)前年より高めに設定した格好だ。これから交渉を追い込む無解決組合や非正規、未組織労働者への波及をねらう。

なお、10日には、今月初旬の水準を踏まえて中旬以降の妥結ミニマム基準を設定する予定になっている。

昨年実績比177円アップ/連合の第3回集計

一方、連合(高木剛会長)が31日に公表した08年春闘の「第3回賃金改定集計結果」によれば、組合員一人あたりの賃金改善額は、1,590組合の平均で5,942円(定昇分込み)。前年と比較可能な1,360組合でみると、賃上げ額は昨年実績より177円高い6,020円(加重平均)となった。高木会長は記者会見で「今年はなんとしても昨年を上回ろうと交渉してきた。経済環境の激変の中、歯を食いしばって交渉した結果だ」と評価。「まだたくさんの組合が交渉を続けている。今後の交渉の進め方や妥結基準の議論を踏まえて、後半戦を頑張りたい」と意欲を示した。