時給17.94円増を獲得/08春闘パート共闘会議

(調査・解析部)

[労使]

連合は3月31日、都内で「08春季生活闘争中小・パート共闘情勢報告交流会」を開き、パート労働者の待遇改善に関する交渉の妥結状況を明らかにした。それによると、連合「パート共闘会議」に参加する組織のうち、時間給の引き上げ要求を提出しているのは380組合で、3月31日までに106組合が妥結した。現時点での時間給引上げ幅は、算出可能な79組合の単純平均で、一組合当たり17.94円となっており、昨年同時期の15.4円(同一組合での比較ではない)を2.5円あまり上回っている。

連合のパート共闘会議は、パート共闘連絡会議に参加する22組織のうち、春闘の取り組みとしてパート労働者の処遇改善交渉に臨み、一定期間内に要求、妥結・集約できる組織で構成。今春は14組織がエントリーしており、 (1) パート労働者の組織化  (2) 正社員との均等・均衡待遇の実現  (3) 時間給の改善 (4) 企業内最低賃金の協定化――など主に四本の柱を据えて取り組んでいる。

時間給については、共闘として初めて、「引上幅で25円程度」、「絶対額で1,000円程度」――という改善目安を提示。また、改正パート法を上回る均等・均衡待遇絡みの重点課題として、正社員と同基準での「通勤手当」や「慶弔休暇」の付与をはじめ、「正社員への転換制度の導入」――の3項目を設定。「正社員との同時決着を極力めざす」の積極的な姿勢で交渉に臨んでいる。

その結果、3月中下旬のヤマ場を終えた現段階で、共闘に参加する組織のうち、パート労働者の待遇改善に取り組んでいる組合総数は1,107。このうち、時間給の引き上げ要求を提出しているのは380組合で、3月31日までに106組合が妥結している。現時点での時間給引き上げ幅は、時間給での比較が可能な79組合の単純平均で、一組合当たり17.94円と、昨年同時期の15.4円(同一組合での比較ではない)を2.5円あまり上回っている。

このほか、同日までの集約では、160組合が正社員への転換制度の導入に漕ぎ着け、また、74組合が慶弔休暇、97組合が通勤手当で、付与基準の改善等を獲得したことも明らかになった。

最賃大幅改定、パート法改正なども背景に

同日行われた会見の中で、パート共闘座長を務める、桜田高明・サービス・流通連合会長は、昨年を上回る成果を引き出している背景について、「昨秋の地域別最賃の大幅改定、改正パート労働法の施行等が追い風になっている。さらに、同法を上回る成果を引き出せているのは、パート市場の労働力需給のひっ迫等もある」などと分析した。

また、こうした結果を踏まえ、今春のパート共闘会議の取り組みについて、高木剛・連合会長は、「昨年に比べ参加組合がだいぶ増えた。改正パート法を上回る要求にも果敢に取り組み、予想を上回る成果を引き出して頑張ってくれている」などと評価。その上で、昨秋の地域別最賃の改定分(東京で 20円増等)を差し引いた交渉成果の評価を聞かれると、「パート等労働者の人数規模を考えれば、波及効果は小さくない。内需型産業が冷え込む中で、たとえ数円でも(獲得原資は)相当なものだ」などと強調した。