ベアゼロ回答も賃金改善を実現/私鉄大手の回答

(調査・解析部)

[労使]

私鉄総連(宮下正美委員長、11万6,000人)に加盟する関東・関西の私鉄大手の賃上げ交渉は13日に決着した。経営側の多くが「ベースアップゼロ」の回答を示したものの、初任給の引き上げや賃金カーブの是正原資の確保、非正規労働者の時給増額などの賃金改善を獲得した。

今春闘で私鉄総連は、一人平均2.0%(定昇相当分)とは別に3,500円の賃金改善原資(ベア)を要求。月例賃金の引き上げにこだわり、年間臨時給(一時金)については、あえて協定月数要求を現状維持として臨んだ。特に大手は「同時同内容」の解決をめざし、今月10日の大手組合交渉団会議では「月例賃金改善に向け昨年実績に1,000円以上の上積みを獲得する」との歯止め基準を確認。「検討に値する回答が得られない場合はストライキ」も辞さない姿勢で取り組んできた。

だが、経営側は月例賃金の改善に強い難色を示して交渉は難航。結果、回答の多くが「ベアゼロ」となった一方で、初任給の増額や賃金カーブの是正原資の確保など何らかの形での改善を引き出した。ただし、産別がめざした「同時同内容」決着は果たせず、課題を残した。

私鉄総連は14日、「 (1) 多くの組合が実質的な月例賃金改善の回答を引き出した (2) 臨時給実績確保と回復分獲得で前進した (3) 非正規雇用労働者の賃金改善の実現――など着実な成果があった」などとする見解を発表している。