賃上げ交渉本番を前に決起集会を開催/UIゼンセン同盟

(調査・解析部)

[労使]

繊維や化学、流通など幅広い産業の労組で構成する民間最大産別のUIゼンセン同盟(落合清四会長、約100万人)は、2月末までに要求書提出を終え、本格的な交渉がスタートするなか都内で5日、2008統一賃闘勝利中央総決起集会を開いた。落合会長は「あらゆる業種・業態に影響を及ぼすUIゼンセン同盟の賃金相場は、我々自身が作っていかなければならないし、そういう時期に来ている。今年こそ必ずやり遂げよう」――などと述べ、自動車、電機といった交渉リード役の動向に左右されず、主体的な相場形成をめざす考えを強調した。

梯団方式で主体的な相場形成めざす

UIゼンセン同盟は、今季賃上げ交渉の統一要求基準の基調を、「制度に基づく昇給昇格(賃金体系維持分)とは別に1%または2,500円」あるいは「賃金体系維持分の社会的水準を含めて7,000円以上」――に設定。これを踏まえて、「腹に落ちる要求で腹を据えた交渉を行う」ため、具体的な要求基準を業種別(繊維、化学、流通、フード・サービス、生活産業、地方の6部会別)に定め、 (1) JC回答を横睨みしつつ3月12~13日に回答を引き出すリード組(Aグループ) (2) その結果を見ながら交渉し3月18日までに回答を引き出す追随組(Bグループ) (3) 以上の動向をふまえて3月末までに全組合が妥結する(Cグループ) (4) その他(Dグループ)――という梯団方式で、昨年を上回る賃上げをめざす。

3月4日時点の集約では、Aグループに203組合、Bグループに257組合、Cグループに759組合、Dグループに740組合――の計1,959組合が参加。例年通りスト権を確立し、本部に委譲するほか、闘争手段として時間外労働の拒否(三六協定の破棄あるいは新たな締結も拒否)も視野に、交渉を追い込む構えだ。

集会では、UIゼンセン同盟の統一賃闘の牽引役を担う、繊維関連部会から日東紡績労組(定昇を別にした賃金改善要求分で1%・2,826円を要求中)が、「(先行して集団交渉を行う)「集交グループ」の綿業種10社10組合は、2月21日に労使会議方式で要求の趣旨説明を行った。3月10日には会社側にスト権確立、時間外労働(協定)破棄の通告を行い、3月13日午前4時からのストライキを背景に、最終的な交渉に臨む構えだ」などと決意表明した。

また、化学部会の三菱レイヨンユニオン(すでに一定の社会的賃金水準に到達しているため2,000円・0.65%を要求中。2,000円要求は他に東レ、旭化成、帝人、クラレ等)は、「UIゼンセンとして自律的な解決、同時決着をめざす中核グループの任を果たせるよう、前倒しで精力的な交渉を展開していく」などと述べた。

4割を占める短時間組合員の交渉も本格化へ

一方、組合員の約4割を占めるパート等非正規の「短時間組合員」について、UIゼンセン同盟は、昇給・昇格制度がある場合は「1%以上の賃金改善」、同制度がない場合は正社員の平均的な賃上げ要求率に準じつつ均衡を考慮して、タイプA(正社員と職務も人材活用の仕組み・運用も同じ)は30~40円目安、タイプB(正社員と職務は同じだが人材活用の仕組み・運用が違う)は3%または25円目安、タイプC(正社員とは職務も人材活用の仕組み・運用も違う)は主旨を踏まえて要求額を決定――等とする要求基準を設定し、交渉に臨んでいる。

集会で決意表明したイオン労組は、「正社員組合員と一緒になって職場の課題を話し合い取り組んできた結果、この数年間で育児介護休業の格差がなくなったり、賃金水準が上がったり、(正社員でない組合員である「コミュニティ社員組合員」の)活躍領域が拡がったりと、均衡処遇が格段に進んだ。今年はさらに、(「コミュニティ社員組合員」の)退職金制度や、有期契約の無期契約化、時給制社員についての時給アップや本格的な人事制度構築等、納得して働ける職場づくりに果敢に取り組む」などと述べた。