UIゼンセン同盟の統一要求闘争に参加/日本介護クラフトユニオン

(調査・解析部)

[労使]

介護労働者を企業の枠を超えて組織する、UIゼンセン同盟傘下の日本介護クラフトユニオン(NCCU、約5万7,000人)は15日、東京・大塚で中央委員会を開き、 (1)賃金の一律的な引き上げ (2)職種別最賃額への到達 (3)介護福祉士資格を評価した時給設定――等を要求の柱とする今春の労使交渉方針を決めた。

全体的な賃上げ重視、水準はUIゼンセン同盟基準で

河原四良会長はあいさつの中で、今春の労使交渉方針の考え方について、「上部団体のUIゼンセン同盟は従来にも増して、賃上げの統一闘争へのこだわりを強く示唆しており、NCCUも傘下組合として臨むことになった」などと述べ、賃金の一律的な引き上げをめざす、統一要求闘争に参加する考えを明らかにした。

NCCUは2006年から、職種別労組としての特色を生かすため、一人平均賃上げ方式より、職種別・賃金水準ゾーン別引上額方式へ移行。しかし結果的には、一人平均賃上げ方式による解決が大勢を占めたこともあり、今春は職種別賃上げ方式に変えて全体的な賃上げをめざすとともに、職種別には最賃額を設定し、その到達を求めることとした。

河原会長はこの点に触れ、「しかしながら、NCCUがあるべき姿として志向している職種別賃金の仕組みづくりを壊すことはできない。統一闘争に加わりながら、NCCUの独自色を出していく。10月の大会には、介護労働者の賃金のあるべき姿を業界の標準モデルとして提起する。関係方面へ浸透させる活動を展開したい」――などと述べ、職種別賃金を追求していく考えを強調した。

月給制組合員7,000円以上、時給制組合員40円以上

中央委員会では、具体的な賃上げ要求水準について、UIゼンセン同盟基準に沿い、月給制組合員を7,000円(賃金引上分2,000円+他産業との格差是正分5,000円)以上、時給制組合員は40円(月給制組合員の要求額7,000円をその月間平均勤務時間(170時間)で割った額をもとに算出)以上――などとする方針を決定した。

また、所定内賃金に対し、職種別に最賃額(平均賃金の90%)を設定して、賃上げ要求と合わせ、底上げをめざすことも決めた。具体的には、介護員(居宅)で月給制組合員が17.1万円(時給制度組合員は1,010円)、介護員(施設)で18.1万円(同1,070円)、ケアマネジャーで22.7万円(1,340円)、看護師で24.3万円(1,430円)――などとしている。

このほか、賃上げに付帯する要求項目として、時給制組合員について、 (1)土、日、祝日の時間給3割増 (2)介護福祉士資格を取得した場合は本人時給1割増――などをめざすことも決めた。

介護報酬の引き上げを要請

中央委員会ではまた、舛添要一・厚労相に対して、「介護報酬の引上げ」をはじめ、 (1)介護予防サービスの介護労働者への影響を検証 (2)キャリアパスを通じた社会的地位の向上 (3)新指導マニュアルの策定と指導・監査の標準化――など7本を柱とする、「介護労働者の人材確保等を求める要請」を行ったことも報告された。

河原会長はあいさつで、介護労働者の需要拡大が見込まれるなか、高い離職率が続いている現状を指摘した上で、「来年4月の介護報酬設定のあり方について強い関心をもたざるを得ない。働く者が元気になるような報酬設定を、是非とも実現して欲しい」などと訴えた。

非常勤訪問介護員の移動にかかる交通費や移動(拘束)時間等、直接サービスを提供している時間以外に対する労働対価を含まない基本時給の引き上げとして。