民間労組として初の春闘で、ベア1,500円を要求/JP労組中央委

(調査・解析部)

[労使]

JPU(旧・全逓)と全郵政が昨年10月に統合して発足した日本最大の単組である日本郵政グループ労働組合(JP労組・約22万人)は29・30の両日、千葉県浦安市で、第一回中央委員会を開き、民間労組として初の春闘方針を決めた。春闘要求の柱として、 (1) 月例賃金のベア1,500円 (2) 年間一時金4.5カ月 (3) 月給制契約社員の基本月額1,000円、時給制契約社員の地域別基準額20円のそれぞれ引き上げ――を掲げた。

「民営・分社化に貢献した組合員に報い、誠意ある回答を」

山口義和委員長はあいさつの中で、民営・分社化後、民間労組として初めての春闘要求の考え方について、「単に一時金を積み上げるような短期的な成果ではなく、持続的な発展を追求しなければならない」などとして、ベア要求にこだわる重要性を強調。その上で、「日本郵政グループの経営状況に少なからず影響が出ることを懸念しつつも、民営・分社化に貢献した組合員の苦労に報い、日本最大の民間企業として社会的責任を果たすスタンスで、要求に対し誠意ある回答を求めていこう」――などと訴えた。

具体的な要求方針として、 (1) 03年大幅賃下げ以降、賃金カーブ維持を続けている基準内賃金について一人平均1,500円のベア要求の実現をめざす (2) 98年以降下がり続けている一時金について、0.1カ月増(昨年実績の「4.4カ月+1万5,000円」を実質的には0.05カ月上回る水準)となる4.5カ月での年間妥結をめざす (3) 所定内労働時間の15分削減等を含む総合労働条件要求書を提出する――ことなどを軸にしている。ベア1,500円要求の根拠としては、07年4月現在で民間企業の平均月給より1,352円低いことなどをあげている。前身の両労組も含めてベア要求を掲げるのは6年ぶりとなる。

闘争体制については、持ち株会社である日本郵政株式会社と4つの事業会社(郵便局、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)ごとに要求書を提出しつつも、グループ5社一括で回答を引き出す集団交渉方式を採用。分社化後も単一労組の形態を維持することから、処遇・労働条件の分散を認めず、同額(同率)回答に向け、3月内の決着をめざす。

期間雇用社員も月額1,000円、時給20円アップを要求

中央委員会ではまた、約3.2万人を組織化している非正規社員(パートナー社員)に係る春闘要求方針として、 (1) 連合のパート共闘に積極的に参加する (2) 月給制契約社員の基本月額1,000円、時給制契約社員の地域別基準額20円のそれぞれアップ (3) フロントラインで深刻な要員不足対策の観点からも、月給制契約社員から正規社員への実際の採用の早期実現をめざす――ことなどを決定。

さらに、労働時間の短縮に向けて、連合の時間外割増共闘に参加し、現在、法定に張り付いている時間外割増率を連合目標に近づけるため、中間的な要求として時間外・深夜30%、休日40%に設定し、引き上げを求めることも決めた。

中央委員会ではこのほか、当面の取り組みとして、全国で約3万人いる正社員の組合未加入者の組織化(次期大会までに30%の純減)や、想定組織率が19%にとどまっている期間雇用社員の組織拡大(同50%の純増)――等を通じて、「30万人組織」の早期実現をめざす組織化方針などを確認した。