賃金構造維持分プラス2,500円以上の方針決定/JAM

(調査・解析部)

[労使]

機械・金属関係の中小企業を多く組織するJAM(河野和治会長、38万人)は17,18の両日、静岡県熱海市で中央委員会を開き、今春闘の方針を決定した。JAMの春闘方針の柱は、 (1) 「賃金構造維持分+2,500円以上」の賃上げ (2) 一時金年間5ヵ月基準 (3) 月45時間を超える所定外労働時間の割増率50%への引き上げ、すべての休日割増率の50%以上への引き上げ――など。賃上げ要求では、高卒直入者30歳26万円、35歳30万5,000円とする標準労働者の要求基準も掲げている。2月19日に統一要求し、金属労協の集中回答日の3月12日および前日を統一回答日としている。

積極的な賃金改善を

河野会長はあいさつで、「月例賃金の改善を図り、消費支出の拡大につなげ内需を中心に経済を下支えする。企業は人で成り立っており、競争力強化や生産性の向上には働く者のモチベーションの向上が不可欠であり、人への投資が必要である」と述べて、積極的な賃金改善の必要性を強調した。また、所定外労働時間の割増率について、「ワーク・ライフ・バランスの観点から、過重労働の抑制と労基法改正の法案修正の後押しのためにも連合構成産別で取り組む割増共闘に参加し、時間外割増率の引き上げに取り組む」などと述べ積極的な取り組みを要請した。

平均賃上げ要求を「賃金構造維持分+2,500円以上」とし、賃金構造維持分が把握できないところでは、「7,000円以上」を掲げるなど、参加する連合の中小共闘と足並みをそろえた。このほか、絶対額を重視した取り組みとして、高卒直入の標準労働者で30歳26万円、35歳30万5,000円を設定。さらに都道府県ごとの地域の賃金実態に基づいた要求基準を示し、賃上げの底支えを図りたいとする。

割増率引上げ要求に議論が集中

所定外労働時間割増率の引き上げ要求は、連合中期目標である時間外50%、休日100%をめざす段階的なものとして、月45時間を超える所定外労働時間に対する割増率を50%、休日割増率を50%にそれぞれ引き上げるよう求める。

質疑では、「時間外割増率引き上げの取り組みは難しい。要求を出しても、使用者の理解を得られない。長時間労働の短縮が先決ではないか」(甲信越)、「過半数のところが法定割増率に張り付いている状況で、この要求水準は高すぎるのではないか」(神奈川)など、割増率引き上げの要求に集中。これに対して、本部は「長時間労働が社会問題となっている。確かに厳しいと思うが、健康障害が起きないような労働時間をめざしたい。少なくともそのスタートラインに立てるような取り組みをしてほしい」(豊泉則幸副会長)などと述べ、理解を求めた。

このほかの取り組みでは、非正規労働者も含めた賃金の底支えをめざした企業内最低賃金協定の締結も盛り込んでおり、時間額で法定最賃を50円以上、上回ることなどを基準として示している。