要求基準を「1,000円以上の賃金改善分」に/自動車総連要求案

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(加藤裕治会長、70万人)は18日に08春季交渉に向けた賃上げ要求として、「格差・体系是正に向け、1,000円以上の賃金改善分を設定することを基準とする」ことを含む執行部案を確認した。各組合は同案を検討したうえで、1月16日に開く中央委員会で正式決定する。要求基準に数値を盛り込むのは02年に「ベア分は1,000円を基準」として以来6年ぶり。07春闘では「賃金改善分を設定する」という内容だった。

03年闘争から要求基準に数値を盛り込んでいなかったが、今回、「1,000円以上」という数値を打ち出した背景について、加藤会長は、「要求の最低水準を示したもの。最低でも1,000円要求して欲しいという底支えの意味だ」と説明する。これをもとに各単組が要求を組み立てた結果として、「要求がばらつくかもしれない。メーカーは1,000円では揃わずそれ以上の要求をしてくれると思う」との期待感を表明した上で、「今回の春闘で積極的な役割は果たしていけると思う」と語った。07春闘で各メーカー労組は、トヨタが1,500円の賃金改善分の要求に対して1,000円で妥結、それ以外のメーカー組合の多くが1,000円の賃金改善要求を設定したが、本田900円、マツダ700円、いすゞ500円など、回答はばらついた。

また、07春闘では、自動車総連に加盟する約1,200組合のうち、906組合が賃金カーブ維持を前提に「賃金改善分の設定」を求め、429組合が回答を引き出した。08春闘に向けて各組合は、中央委員会以降、具体的な要求策定に入るが、「1,200組合の大半が1,000円以上の要求を出してくれると思う」(加藤会長)とみている。

なお、「賃金改善分」については、賃金カーブ維持分の確保を前提に、手当は含めず、月例賃金の改善をメインとするとの考え方を示している。

08春闘はこの他、2010年までに年間総実労働時間1,800時間台を目指す中期目標のスタートの年となるため、各組合では残業削減や要員確保による年次有給休暇の取得率向上など求めるほか、非正規労働者への対応として、労働条件に関する労使協議や企業内最低賃金協定の締結促進などを進める考えだ。