男性正社員の働き方の見直しを/連合のワーク・ライフ・バランスの考え方

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は13日の中央執行委員会で「ワーク・ライフ・バランスの基本的考え方」を確認した。「めざすべき社会」をすべての働く人がやりがいのある仕事と充実した生活を両立できて、それを支える政策やシステム、慣行が構築されている社会と位置づけ、目標とする社会の実現に向けて男性正社員の働き方の見直しやパート・派遣労働者の処遇改善などを訴えている。

意識や生活スタイルの変化が重要

「考え方」は「社会格差の拡大と働き方の二極化が進むなかで、メンタルヘルスを含めた健康障害が深刻化する一方、ワーキング・プアや格差の固定化が社会問題化して、急速な少子化の大きな要因となっている」などと現状を分析。労働組合や労働者個々人が自ら、意識や生活スタイルを変えていくことの重要性を訴えている。

そのうえで、めざすべきワーク・ライフ・バランス社会を、「すべての働く人々がやりがいのある仕事と充実した生活との両立について、自分の意思で多様な選択が可能となる社会、それを支える政策やシステム、慣行が構築されている社会」と定義づけた。その基本的な方向としては、 (1) ディーセントワーク(人間尊重の労働)が保障されること (2) すべての男女労働者に等しく保障されること (3) 働く側にとって選択可能な働き方であること (4) 子育て・介護等を支える社会基盤が確立されていること (5) 個人生活を尊重し、質の高い働き方を求める企業文化、社会システムに転換すること (6) 企業の社会的責任の観点からも積極的に推進すること――の6点を提示している。

部分的な施策は現状のアンバランスを助長

一方、直面する問題については、まず長時間労働が恒常化する男性正社員の働き方を挙げた。仕事中心で家事や育児、介護、地域活動などに携わることができないような働き方が「全くといっていいほど変わっていない」と指摘。「何よりもまず、職場における働き方基準そのものを見直すことが必要だ」とする。

また、長時間労働が蔓延する背景には、行き過ぎた規制緩和に伴う競争の激化と労働条件の切り下げがあるとして、残業収入に依存しなくても済む所得の保障や仕事に応じた賃金の均等処遇、最低賃金の引き上げなどの必要性を明記。さらに、昨今の政府を中心とするワーク・ライフ・バランスの論議の内容に対しても、「部分的な施策や小手先の施策にとどまるのであれば、結果的に現状のアンバランスを助長する」と懸念を表明し、現状の働き方を前提とした女性の両立支援策や、労働時間規制の適用除外の拡大にクギを刺している。

そして、めざすべき社会は、「個々の政策ではなく、総合的な戦略の下で実効ある複数のパッケージによらなければ実現が不可能だ」と強調。男性正社員を中心とする長時間労働の抑制策やパート・派遣労働者の正社員との均等処遇と転換可能な働き方の保障、子育て世代に対する経済的負担の軽減策などの具体策を示したうえで、国や地方自治体、労使が取り組むべき課題を列挙している。