賃上げには毎年取り組む/自動車総連大会

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(加藤裕治会長、70万人)は、6、7の両日、北九州市小倉で定期大会を開催し、昨年に決定した2年間の運動方針の経過報告と08年に向けた課題を確認した。今春闘の成果としては、構成単組の約8割にあたる906組合が賃金改善分を要求してその半数が獲得したことと、総実労働時間の短縮を56組合が要求し、20組合で進展があったことを確認。向こう1年間の課題として、 (1) 構成単組の約1割に達する賃金カーブ維持分(定期昇給相当分)割れに歯止めをかけること、 (2) 販売や輸送など自動車産業内での各業種固有の働き方に基づく労働条件を改善すること、 (3) 非典型雇用労働者の組織化や正社員化――などを重点的に取り組むことを決めた。

賃上げ要求の社会性を強調

大会冒頭の挨拶で加藤会長は、今春闘の成果について、「賃金改善分の要求組合数、要求水準、獲得組合数、獲得水準ともに2006年を上回ることができた」と評価する一方、自動車国内販売が26カ月連続で対前年比減となっている状況を受け、「国内に事業基盤のある部門で昨年実績を下回り、解決が6月以降にずれ込む組合数が増加した」と指摘。そのうえで、労働組合が取り組む賃上げ要求が持つ社会性を強調しつつ、「賃上げには毎年取り組むべき」との基本的な考え方を示した。また、都道府県での改定審議が収束した地域別最低賃金を受けて、審議の動向が注目される産業別最低賃金制度の重要性を改めて強調した。

時短の取り組みを推進

他産別に比べて高い水準にある総実労働時間の短縮に向けて、大会では07年末までに単組別目標設定を行うことを確認。あわせて時間外割増率の引き上げについても各単組の事情に合わせて個別に取り組むことも確認した。自動車産業内の各業種固有の働き方については、08年4月までに全単組が販売部門を完全時間管理に移行する取り組みを行うほか、輸送部門のドライバー職の労働時間管理に関する現状把握を行う。

非典型労働者増加への対応

今大会では、07年5~6月に実施した「自動車産業における非典型雇用労働者の雇用実態に関する調査」の中間とりまとめが報告された。組織内全体で平均20%のパート、契約社員、派遣などが非典型社員として働いている。同調査は、企業内格差を是正し、非典型労働者の賃金の下支えをはかる観点から、 (1) パートを含む全従業員を対象とした企業内最低賃金協定の締結を強化する、 (2) 自動車産業における強みの維持・向上をはかるための現状把握を行う――ための基礎的な資料として活用するとしている。