部会体制を解消し、賃金・労働条件、産業政策を一本化/サービス連合大会

(調査・解析部)

[労使]

旅行・ホテル、航空貨物などの組合でつくる、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、3万9,600人)は25、26の両日、神奈川県・横浜市で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。結成から6年を経て、産業横断的な取り組みを強化するため、これまでの「部会」体制を解消。各産業・業種ごとに対応してきた賃金・労働条件、産業政策を一本化することなどを決めた。

組織体制の見直し案では、今後も「複合産別をあえて指向せず、サービス・ツーリズム産業に集中して堅実な組織拡大をめざす」と明記。そのうえで、より一体感のある運動に質的に転換させるため、ホテル・レジャー、観光・航空貨物の両部会体制を発展的に解消し、本部―地連体制のもと、賃金・労働条件の改善や産業基準の確立、産業政策の立案――などを可能な限り一本化する。

07~08年度の組織拡大の目標を5,000人に設定

一方、運動方針では、引き続き組織の強化・拡大に重点を置くことを決めた。07~08年度の組織拡大目標を、企業内・関連3,000人、未加盟・未組織2,000人の合わせて5,000人に設定。全従業員の組合員過半数到達をミニマム基準とし、原則ユニオンショップ協定による組織拡大をめざす。病気療養中で欠席した笠原豊会長に代わり、あいさつした秋山邦男副会長は、「結成以来、掲げている『10万人構想』の実現が必要だ」などと強調した。

ただ、前期05~06年度は、組織拡大目標を4,000人、組織人員目標を4万5,000人に設定し、JTB労組の取り組み(分社化に伴い契約社員を含む約2,500人を組織化)などで弾みはついたものの、結果的には目標に届かなかった。そこで方針では、初めて実施した組織実態調査で明らかになった有期雇用契約者を含む組織内・加入可能対象者約2万7,000人の組織化に力点をおくほか、各加盟組合が少なくとも、派遣労働者を含めて関連1組織以上の組織化を目標にする。

時短方針に「最低基準」

このほか大会では、連合の時短方針をベースにした総実労働時間短縮に向けた方針案も示された。連合方針に準じて年間1,800時間をめざして取り組むものの、「現実離れした目標を設定したのでは運動は進まない」などと指摘。そのため連合方針に基づく「到達目標」のほか、10年3月末までに全加盟組合で達成をめざす「最低基準」を設定した。「最低基準」には10項目を掲げ、とくに全体で取り組む必須項目として、 (1) 所定労働時間で仕事を終える職場風土づくりと労働時間の実態把握等(選択A:年間所定労働時間が2,000時間超の場合は所定内労働時間の短縮を優先、選択B:同2,000時間以内は所定外労働時間の削減優先) (2) 年次有休休暇の取得促進(一人平均取得日数10日未満の組合をなくす) (3) 時間外・休日・深夜労働割増賃金の割増率改善(法定割増率以上)の取り組み――をあげた。

役員改選では、会長に笠原豊(専従・JTB、再任)氏、事務局長に松本達也(専従・兼地連担当、トップツアー出身、新任)を選出した。