09年度末までに年間2,000時間以下に/連合の新時短方針

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は14日、中央執行委員会で「年間総実労働時間1,800時間の実現に向けた時短方針」を確認した。「単にモデルだけを言っていても始まらないので、最低到達目標を設定して運動として展開していく」(古賀伸明事務局長)とし、その手始めとして2009年度末までに、所定労働時間(連合調査に基づく)が2,000時間を上回る組合をなくすことなどを目標に掲げている。

連合の新時短方針によれば、連合組合員の年間総実労働時間は2003年以降2,000時間を上回り続けており、05年は2,019時間に達した。連合は01年から5年間、「中期時短方針」を掲げて時間外労働の削減や有給休暇の取得増などに取り組んできた。だが、「経済不況や雇用維持のために後退を余儀なくされる状況もあり」、この間の取り組みはほとんど進展しなかった。

所定内労働時間を調べた連合の全単組調査(2004年)をみても、年間の所定労働時間が2,000時間を超えている組合は全体の19.7%にのぼる。産業別にみると、製造業や商業・流通で2,000時間以上の単組が1割強にとどまっているのに対し、交通・運輸は7割に達するなどバラつきが大きい。また、企業規模別では、概ね規模が小さくなるほど長時間労働の傾向にあり、100人未満の3割強で年間所定労働時間が2,000時間以上となっている。

新方針は、過剰な仕事量や恒常的な長時間労働が「多くの組合員が精神的ストレスを増大させ、健康不安を募らせており、メンタルヘルス面の不調を抱える労働者の増加や過労死・過労自殺、重大事故等も社会問題化している」などと指摘。「こうした事態に対し、労組としての対策が不十分であったことは否めない」として、「労働時間の改善は労組にとっての喫緊の課題」と主張する。目標は、各構成組織が年総実労働時間1,800時間の実現をめざし、「1日7.5時間×240日」の連合モデルを参考に時短目標と指針を策定。連合は毎年、構成組織の計画の作成・進捗状況をとりまとめ、2012年度末に総括と方針の見直しを行う。

目標の具体化に向けては、まずフルタイム労働者の最低到達目標を設定した。具体的な柱として、 (1) 年間所定労働時間2,000時間を上回る組合をなくす (2) 年休の初年度付与日数を15日以上とする (3) 年休の一人あたりの平均取得日数10日未満の組合をなくすとともに、取得日数5日未満の組合員をなくす (4) 時間外労働の割増率などが法定割増率と同水準にとどまる組合をなくす (5) 全組合員の時間外労働を月45時間以下に抑えることを基本に、少なくとも1カ月100時間または2カ月160時間を超える過重労働を根絶する──ことを求めている。