企業買収法制の整備を要望/基幹労連

(調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労組で構成する基幹労連(内藤純朗委員長、24万人)は8日、甘利明経済産業大臣に「企業買収法制の整備に関する要望」を申し入れた。要望書では、日本のものづくり企業の高い技術力の獲得や流用をねらった外資の敵対的買収の動きに懸念を表明。組合員の雇用と生活の安定のためには、法整備による国内製造拠点の競争力維持が不可欠だと主張している。

要望書は、企業の合併・買収による企業再編について「それが企業価値の向上につながり、従業員、取引先、地域社会といったステークホルダーの利益に結びつくものであれば受け入れられる」としながらも、「今日の日本企業をターゲットとした『外資による敵対的買収』は日本のものづくり企業が有する高い技術力の獲得・流用をめざしているとの見方もあり、投資ファンドも参入したマネーゲーム的要素もある」との危機感を示している。そのうえで、「国際競争力の源泉であり、企業存立の基盤である『技術力』が、敵対的買収といった強硬手段によって買収され、その技術が流出されたなら、中長期的には国内製造拠点が技術優位性を失い、縮小することは眼に見えている」などと訴えている。

さらに、「欧米と比べて、日本のM&Aに対する全体的な法整備は脆弱なままだ」と主張。 (1) 三角合併に関する決議要件の厳格化(会社法) (2) 外国為替法に関する対内直接投資の規制のあり方 (3) 株主公開買い付け対価の種類の限定(改正証券取引法)――の整備を求めている。

同労連によると、甘利経済産業相からは、「企業買収法制の整備については、過度に防衛的なものとならず、欧米とのイコールフッティングという主旨を踏まえ、その領域を逸脱するものに関し、クレームをつけることができるようなガイドラインを準備している」、「対内直接投資の規制のあり方については、技術流出の懸念に対して、米国のような包括的に網をかける規制はできないが、国の安全保障の観点から、ポジティブリストを時代の変化にあわせて見直すことは必要だ」などのコメントを受けたという。