非常勤職員の組織化と処遇改善を強化/JPU中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

日本郵政公社労働組合(JPU、菰田義憲委員長、13万9,000人)は15~16日、都内で中央委員会を開き、今年10月の民営・分社化に向けて、人事制度、労働条件等の承継や、全郵政との組織統合に向けた検討協議を最優先課題に位置づけて取り組むことなどを決めた。今春闘については、 (1) 賃金をはじめとする「総合的労働条件改善要求書」を提出し、一時金は春闘時に年間妥結をめざす (2) 非常勤職員の組織化を推進し、均等待遇のための処遇改善に重点を置く――ことなどを柱に据えた。

非常勤職員の「基本賃金単価の引き上げ」などに注力

菰田委員長は、あいさつの中で、約2万人の組織化を達成した非常勤職員の処遇改善の取り組みについて、「大きな課題であることは言うまでもない。JPU運動が真に本工主義から脱却できるかが問われている」などと指摘。そのうえで、今春闘は連合のパート共闘と連携しつつ、「基本賃金単価の引上げ」や「キャリアスタッフ制度の拡充」「民営化以降の新たな社員区分の設定」――などに注力することで、「郵政職場に約12万人と言われる非常勤職員に強いメッセージを送る」と強調した。

また、10月に迫った民営・分社化については、「新会社の要諦は、持ち株会社を中心にした四事業会社のグループ経営だ。新たな労使関係も、グループ労使関係を基軸にすべきと考えており、制度的に押さえていく必要がある」などと指摘した。そのうえで、単一組織をめざす前提で、協議を進めている全郵政との組織統合に触れ、「民営・分社化時代に対応し、組合員の幸せを実現するのに不可欠な取り組みだ。引き続き対等互譲の精神を基本に検討協議を進めていきたい。圧倒的な郵政関係労働者の結集は、労働界や地域社会に新たな潮流を巻き起こす原動力となる」などと訴えた。

全郵政との組織統合に向け、過去の運動総括へ

JPUと全郵政の組織統合をめぐっては、両者で昨年9月に「組織統合検討協議会」を設置し、具体的な協議を進めている。しかし、その前提として全郵政から「JPUが自ら過去の運動の総括を行う」ことを要請され、JPUの出方が一つのポイントになっていた。

こうしたなか、中央委員会では、「郵政労働運動と民営・分社化時代の将来展望を切り拓く大志をもって、改めて過去の運動を総括し、正式な議決機関に諮ることにより、組織統合の実現に全力をあげる決意を表明する」などとする方針を提起。「私たちの運動を振り返って-そして未来へ-」と題する総括原案は、「当時の激しい労使対立に加え、組織分裂の衝撃が感情論となって噴出し、全郵政組合員に対する暴力的な行為等、労働運動を逸脱する突出した行為があったことも否めない事実であり率直に反省する」「『反マル生越年闘争』のように社会や事業に対し悪影響を及ぼしたこと、そして郵政関係者に精神的な苦痛を与えたこと等は、歴史的な教訓として自戒の念を禁じ得ない」――などとしており、これをベースに全郵政の要請に応える形の総括を機関決定していくとした。

質疑・討論では、民営・分社化に向けた準備作業の遅れや、要員不足による職場の疲弊を訴える声などが相次いだ。また分社化後、グループ内で基礎的な労働条件は維持できるのかといった不安の声もあがった。全郵政との組織統合に関しては、「時代の要請であり、内外から評価されている。組合員の幸せのためと考え、本部方針を了とする。ただ一部に反発の声もあるし、JPUのこれまでの歴史と実績もある。すべての組織関係者が一丸となれるよう、十分な対話を要請したい」などとする意見があった。