賃金改善とワーク・ライフ・バランスの2本柱で/金属労協の07闘争方針

(調査・解析部)

[労使]

自動車、電機、鉄鋼、造船など金属関係の産別でつくる金属労協(IMF・JC、195万人)は1日に都内で協議委員会を開き、「2007闘争の基本的考え方」を決めた。マクロ経済の好転や物価の上昇を踏まえ、基本的に全組合が「具体的な賃金改善要求」を行うことを確認。闘争のもう一本の柱に、労働時間短縮などを通じた「ワーク・ライフ・バランス」の実現を置くことも決めた。

賃金改善は「昨年よりも目線をあげて」

金属労協は07闘争の位置づけについて、「人への投資と働き方の見直しによって、ワーク・ライフ・バランスと産業の発展を実現する」との観点から、「賃金改善による金属産業にふさわしい賃金水準の追求」と「労働時間を中心とした取り組み」を2本柱に取り組みを進めるとしている。金属産業は景気回復に大きな貢献をしてきたにもかかわらず、賃金水準は全産業平均を下回り、国際競争力を強化するためには、「人への投資」が不可欠だと主張。さらに規模間の格差にも歯止めがかかっていないため、昨年以上の積極的な姿勢で賃金改善に取り組む考えを前面に打ち出している。

あるべき水準を追求するため、従来の賃金の上げ幅でなく、絶対水準を重視する。新しい共闘軸として掲げている「大くくり職種別賃金水準の形成」に向けては、来春は単組ごとに設定した「技能職中堅労働者」などの職種別賃金について、産業・業種内における位置づけを判断するための「比較指標」を作成。賃金の実態データに基づき、産業・業種別、規模別に賃金の特性値を示すもので、これを参考に要求を策定し、あるべき絶対水準を重視することで、産業間・内や規模間の格差是正を図る考えだ。

加藤議長は冒頭あいさつで、金属労協として06闘争で5年ぶりにベア要求などで足並みを揃え、多くの組合で賃金改善を実現したことで、「この考え方(賃金改善)が全体へ波及した」と総括。今後の各産別の要求策定に当たっては、昨年よりも「目線を上げた議論を期待している」と要望した。

方針では賃上げ要求の基本的考え方として、「物価上昇を含めた賃金改善の取り組みを行う」と明記している。昨年の賃金改善要求をみると電機連合が2,000円、自動車メーカー労組の大半が1,000円を要求し、多くの組合で有額回答を得た。一方、物価上昇分について金属労協では0.5~0.6%程度とみている。

「ワーク・ライフ・バランス実現」のスタートの年

もう一本の柱に掲げる労働時間短縮では、36協定運用の点検などを通じて、長時間労働撲滅に向けた検討を行うとしている。時短は単年度の交渉で実現しにくい面もあるため、07闘争は「ワーク・ライフ・バランス」の「スタートの年」とし、次年度以降の統一闘争の下地作りとの位置づけだ。具体的な目標として、所定・所定外の削減、年休完全取得などにより、90年代初頭から掲げている年間総実労働時間1,800時間台の達成を目指す。時間外割増率については、産別が設定する基準への到達を全組合が取り組む方針だ。