介護関係企業20社との間で安全衛生に関する労使協定を締結/NCCU

(調査・解析部)

[労使]

UIゼンセン同盟傘下の職種別労組で、介護労働者を企業の枠を超えて組織する日本介護クラフトユニオン(NCCU、河原四良会長、6万2,000人)は21日、ニチイ学館、コムスンなど介護関係企業20社との間で、安全衛生に関する労使協定等を締結したと発表した。NCCUでは、これを「介護労働業界のグランドルールの一つとして波及させてゆきたい」としている。

NCCUは、個人加盟が原則となっているが、企業ごとに分会を設置しており、今回はこの加盟分会企業との間で協定を取り交わしたもの。締結した安全衛生協定・規程は、本年5月からNCCUと加盟経営者会との間で常設化した「集団交渉」の枠組みの中で、協議を進めてきた。安全衛生法では努力義務となっている50人未満事業所での衛生委員会の設置なども含めて合意した。規程ではこのほか、介護業界に特徴的な、感染症の予防対策や腰痛予防措置等に加え、長時間労働者への医師による面接指導の実施についても、法定を上回る内容(「月80時間」を超える労働者の申し出か、「所属長の指示」があった場合)で事業者への義務づけを明記した。

NCCUは21日、厚生労働省に出向き、同労使協定の締結に至ったことを報告した。

同日開いた労使による共同会見で、河原NCCU会長は、「少人数の事業所が多い介護業界で、法律を上回る内容を含む協定が結べたことは広く波及効果を与えるものと期待している」などと強調。一方、加盟経営者会代表のアイケアサービス・市川明壽代表取締役は、「安全と衛生は労働者だけでなくお客様にとっても関心の高いテーマ。この協定・規程を加盟企業の介護労働者のスタンダードとすることで、介護保険制度のスタート以来、急速に増えた事業者との差別化を図りたい」などと述べた。

両者は引き続き、「集団交渉」のなかで、ケアマネジャーやヘルパー等の最低時給を取り上げることにしている。