来春も「統一的で明確な賃金改善要求」/日産労連会長

(調査・解析部)

[労使]

日産グループの労組でつくる日産労連(西原浩一郎会長、約16万人)は15、16の両日、さいたま市で定期大会を開き、06~07年度の活動方針を決めた。西原会長は冒頭のあいさつで、来春の賃上げ要求について「統一的で明確な賃金改善要求を掲げて取り組みたい」と述べ、産業間やグループ内の格差是正の観点から引き続き、「ベア」を要求に盛り込む意向を示した。

格差拡大防止のため賃金水準向上は不可欠

日産労連の中核組合である日産労組は、今春の交渉で賃金制度維持分と改善分(1,000円)を合わせて7,000円を求め、満額回答(5年連続のベア1,000円)を引き出した。一方、グループ企業労組の多くも業種・企業間の格差是正の観点から、賃金カーブ維持分以外の「賃金改善」の要求を掲げ、昨年実績の52組合を上回る169組合が「賃金改善分」を獲得した。しかし、同労連は組織内の格差に関する多くの課題が持ち越されているとの認識から、来春も賃金改善に取り組む考えだ。

あいさつで西原会長は要求策定に当たっては、マクロ経済や雇用・物価動向、産業・企業実態の分析を踏まえつつ、 (1) 仕事の価値に見合った賃金は働く者のやりがい・意欲・活力・モチベーションを高める (2) 産業間・業種間・グループ間、さらにグループ内格差は依然、拡大傾向にあるため、格差是正・拡大防止を最大限重視する (3) ここ数年の税・社会保障負担増は家計を大きく圧迫し、生活改善の必要性と期待は高い――の観点から、賃金水準の向上が不可欠だと主張した。

GMとの提携は「雇用確保が大前提」

一方、経営難に陥っているゼネラスモータース(GM)と日産・ルノーグループとの提携協議に触れ、「引き続き状況説明を求めながら、推移を注視していく」としたうえで、企業提携にはリスクとチャンスが同時に生じるため、「グループ全体の雇用確保を大前提とし、グループ全体の健全で将来的な発展への寄与の可能性を重視したい」との基本スタンスを示した。現在進行中の協議は、提携効果の有無や程度について10月中旬をめどに結果をまとめ、3社それぞれに報告されることになっている。

なお、大会で決めた活動方針では、個別賃金要求方式への段階的な移行に向けて、約6割に止まっている35歳個別賃金水準の開示労組を増加させることに加え、ミニマム水準確保の観点から、「企業内および年齢別最低賃金の締結に向けた取り組みを強化する」としている。また、パート等の非典型労働者と60歳以降の雇用継続者・再雇用者の組織化に向けて、組合会費、権利・義務などの条件面はすでに制度整備していることから、職場内のパート・契約社員等の社会的・経済的地位向上のため、組織化の取り組みを強めるとしている。