2年サイクル運動の徹底を/基幹労連定期大会

(調査・解析部)

[労使]

鋼や造船、非鉄金属の労働組合でつくる基幹労連(24万2,000人)は7、8の両日、福岡県で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。今春闘で造船、非鉄を含めて実現した2年サイクル運動を徹底させ、それにより生じる余力を組合運動活性化の新たな活動に有効活用するもの。大会では、内藤純朗委員長(前事務局長)、瀧澤健二委員長代行(前JFEスチール労連委員長)、神津里季生事務局長(前新日鐵労連会長)ら新役員を選んだ。

統合後3年間の運動に「手応えを実感」

基幹労連は、鉄鋼労連、造船重機労連、非鉄連合の3産別の統合により2003年9月に発足した。宮園哲郎委員長は結成以降の3年間を振り返って「問題・課題はまだ随所に残っているが、初期の目標であった人心の融和についてはかなりの手応えを実感している」と強調。運動の2年サイクル化に基づく06春闘の取り組みや、来夏の参議院比例区選挙での組織内候補の擁立などを具体例としてあげ、「3年足らずでこれだけの一体感を持ち得たことを誇りに思って良い」と総括した。

新運動方針は「3年で一人前の産別になるとの願いは実現したが、頼れる産別へは未だ道半ばだ」として、2年単位のメリハリのある運動の徹底や組織拡大、安全衛生活動の推進などを掲げている。なかでも春闘については、07年度は一時金や格差改善などを中心に取り組む「個別年度」にあたることから、「人への投資」を求める姿勢を引き続き重視しつつ、中堅・中小の業種別組合に対する大手総合組合の支援体制を強化するとしている。

大手は情報の開示を

基幹労連は今春闘では「2年分で3,000円」の賃金改善を要求した。その結果、「改善に必要な財源投入を行う」との回答を得たものの、具体的な金額は示されなかった。ほとんどの大手組合は、来年4月の賃金改善実施に向けた投入財源や配分についての労使協議を今秋に行う予定になっている。

07春闘に臨む業種別労組にとっては、この大手の投入額と配分内容の動向把握が不可欠。そのため討論では、「今後の交渉指針となる情報提供と、強固な支援体制づくりをお願いしたい」(合同製鐵労組)、「賃金改善の取り組みを形骸化させることのないよう、適切かつ迅速に総合部門の情報開示を含め、産別本部の指導性を発揮して欲しい」(大同特殊鋼労連)、「格差改善にターゲットを絞ったAPO7(07春闘)は、業種別組合として成果をあげなければならない。要求検討から交渉まで、支援・協力を強く要望する」(冨士電子工業労組)など大手の情報開示を求める声が相次いだ。

一方、鉄鋼部門大手からも、「頼れる産別として、指導性ある取り組みを通じた役割の発揮を」(新日鐵労連)、「格差問題をかかえる大半の業種別組合は、水準是正が最大の課題。実態を直視した産別のきめ細かな指導を強く要請する」(JFEスチール労連)、「AP06(06春闘)の賃金改善における今後の労使での検討・交渉を積極的に進めるとともに、進捗状況は適宜、報告していく」(神戸製鋼所労組)などの意見が出た。

組合運動活性化の新たな活動を提起

また、大会は組合運動活性化への新たな活動として、 (1) 大JBU(だいじょうぶ)パワーバンク (2) JBU正夢プロジェクト (3) JBU運動参加ポイント制度――の3つのプロジェクトを提起した。今後、実現の可否も含めて検討を重ね、可能なものから実現させていきたい考えだ。

「大JBUパワーバンク」は、災害ボランティアとしての人材を組合が教育、訓練して全県本部に登録。災害発生時には近隣の県本部から派遣できるようにする試み。基幹労連はこれまで、被災地に義援金を贈ってきたが、人を出すことはできなかった。それを可能にする構想だ。

「JBU正夢プロジェクト」は、組合員から夢の企画を募集、審査し、金銭面や人集め、情報提供などを援助するもの。「JBU運動参加ポイント制度」は、産別が行う労働運動に参加すると加盟組合にポイントを与え、溜まったポイントは産別が行うイベントの参加費などで使えるというもの。ポイントを集める段階で産別運動に参加し、それを使うことでも運動に参加することになる。